自家製原木生ハムの山下げ
ハモンセラーノタイプの原木生ハムは1年~数年熟成させて作ります。
その間、常温の室内熟成ですが、さすがに夏の東京は気温が高く、そのためハモンセラーノの命とも言える脂肪に対する酸化が進み品質が格段に落ちてしまいます。
そこで暑い時期は真夏でも気温が低いわらびさんの白樺湖山荘に吊るし、山荘が凍結する寒い時期は自宅に吊すというスタイルで熟成させているのです。
私達は、この自宅→山荘への原木移動を山上げ、山荘→自宅への原木移動を山下げと呼んでいます。
白樺湖山荘で年数回行っているオフ会の中で、秋のオフ会は「キノコの会」だったり、「山下げの会」だったりと、名称は変わるけれど、要は料理好きの仲間が食材を持ち寄って集まり、キノコ狩りをしたり、料理を作りまくって、飲みまくって、しゃべりまくって楽しみ、帰りに山荘に吊るしていた自分の原木生ハムを持ち帰るというオフ会になっています。
今回は関東組がわらびさん夫妻、Fujikaさん、私ども夫婦。
東海組がmiyakoさん親子、N君親子、Oさん夫妻とお子さん2人、Kさん夫妻、Iさん、K君、F君、Aさん、Yさんと別のYさんと、総勢大人17名、子供4名の参加でした。
さて、今回も丸雉燻製を持っていこうかな~っと、オフ会に行く3日前から準備です。
これが素材の国産雄雉1.2kg物(下写真)。
燻製にすることで水分が落ち重量が減ります。
雌雉ではもともとのサイズが小さいので、燻製にしてさらに小さくなると食べ甲斐が無いので、雄雉に限ります。
雄かどうかは足を見ると一目瞭然。
雄には蹴爪があります(下写真)。
頭、足を切り取り、腹腔を良く水洗い。
ソミュール液が良く滲みこむように表面をフォーク等でプスプスし、雉の頭&足の切断面をリードペーパー等でカバー(切断面の骨でPE袋が破れるので)。
PE袋に、雉&ソミュール液をいれ空気が入らないように袋を閉じ、さらにPE袋に入れて(2重にして破れ漏れ防止)、冷蔵庫で丸2日間(下写真)。 ソミュール液のレシピ、そして雉燻製の作り方詳細はこちら。
そして2日後、塩抜き、ボイル、乾燥、スモークして出来上がり(下写真)。
この雉燻製は一晩風乾燥して燻り臭さを取った後、パッキングしました。
雉だけではなく、山荘で私が作る料理に使うスープストックを用意するのもいつものこと。
今回も親丸鳥一羽と野菜で濃縮チキンブロスを取ります(下写真)。
親鶏は卵を産まなくなった老鶏、別名ヒネ鶏、古鶏、昔鶏とも言います。
飼育日数が長いので、肉質は固いけれど旨みも強く、抜群の出しが出ます。
鶏ガラでは中々でないスープも、丸鶏、それも親鶏の丸鶏からは濃厚なスープが取れるのです。
そうそう、今回はこれに燻製にする雉を低温ボイルしたときに出る雉の黄金スープも加わっています。
作った料理はと言えば、今回も沢山の料理が並んだのですが、肝心のメインの11日の夕食の料理写真を殆ど撮っていません。
さらにこの倍はあったかな~。(^^;ゞ (下写真)
さてお題の原木生ハム。
今回山下げしてきた原木生ハムは4本で、内訳は2年物が1本、1年物が2本、1年物の猪原木が1本です。
もう消費を開始する2年物原木の表面を清掃し、オリーブオイルを塗布して(下写真)
自作ハモネロにセット。
このハモネロは踵付きのハモンセラーノに合わせているので、踵無しの原木生ハムにはちょっとサイズが大きいのです(下写真)。
早速切って見ました(下写真)。
2年熟成ですが水分は十分。
この状態ならさらに3年、4年と熟成させることも楽勝です。
消費しながら水分をもう少し落とすことで、より切り易くなるしさらに味も上がってくるでしょう。
熟成が進み融点がしっかり下がってラルド状態の脂肪は、切っているうちから少し溶け滲みテカテカと光ります。
塩味は随分マイルド。香りも切り始めとしては合格。
最初に切り始める時に、肉面が出てくるまでの脂肪層を薄~くスライスして取り置けば、切り出した後、切り出し面が空気に触れないように、このスライス脂肪を貼り付けて覆うことで、切り出し面でのカビの発生や乾燥、酸化を防ぐことが出来ます(下写真)。
切り出し始めで少し水分を落としたい場合や、毎日スライスをしている時は、切り出し後の切り出し面にオリーブオイルをベタベタに塗布し、スライス脂肪の代わりにキッチンペーパーを貼り付ける方法も行います(下写真)。
キッチンペーパーは取り替えないで使う方が、オイルを吸って油紙の様になって都合が良いのです。
暫く切り出さない場合は、この方法では乾燥が進み過ぎてどんどん固くなってしまうので、その場合はスライス脂肪で覆う方法をとります。
勿論、どちらにしろこの上から埃除けにさらしのカバーをかけます。
上記2方法を使い分けて切り出し面の水分調整や酸化防止を上手に行うことで、切り出し始めより味も香りもずっと良くなっていきます。
WEBを見ていると随分固くしてしまう方がいますが、それでは生ハムではなくポークジャーキー。
切り進みながらジャストの水分含有量で味も香りもベストの状態に仕上げ、そのの状態をキープしながら最後まで消費していくのも腕です。
切り出し始めた2年もの以外は、室内で吊るして熟成中。
1年物の国産豚原木が2本と、右端がやはり1年物の踵付きの猪原木(下写真)。
今冬も原木2本を仕込む予定なので、この吊るしている豚原木2本と、今冬仕込み予定の2本の計4本を、来年5月か6月に山上げする予定です。
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