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2016’02.10・Wed

特別な丸雉燻製

私は雉の燻製が好きで、丸雉燻製をよく作ります。
でも入手出来る国産飼育雉は何故か全て冷凍物なのです。
勿論、冷凍物であってもそれで作る丸雉燻製はビックリするほど美味しいのですが、理由があって、随分長いこと冷凍物ではない国産雉を手に入れたいと探していました。
で、何故冷凍物しか流通しないのか、今回やっとその理由が判ったのです。
1年中卵を生む鶏とは違い、キジは産卵期が決まっています。
従って孵化からの飼育日数と脂の乗る季節を考えれば、一番肉が美味くなる時期は限られていて、その時期に1年分をまとめて締めて、冷凍で保存するのだそうです。
確かにそれは説得力があって、猪の例を考えても、脂の乗っていない夏の駆除猪の非冷凍物だったら、脂の乗った冬の猪の冷凍物の方が遥かにマシというものですナ。
・・・と、こういうことだったのですが、なな、なんと!!偶然にも、今回は1年分まとめてこれから締める時期に遭遇、無理や頼み込んで念願だった生丸雉を数羽ゲットできたのですゾ♪(下写真)

IMG16012800.jpg


早速、ソミュール液用のハーブ塩(イタリア海塩、砂糖、ハーブ各種)を計測して(下写真)、

IMG16012802.jpg


作ったソミュール液と一緒にPE袋に封入し、冷蔵庫で丸2日(下写真)。

IMG16012801.jpg


そして2日後。
表面を洗い、ちょろちょろ流水で2時間塩抜き後、80℃で2時間ボイル。
表面の水気を切り、燻製釜に吊るし、若干加熱して30分強制乾燥後、サクラチップで釜内80℃1時間温燻。
一晩吊るして燻り臭さを取り、翌日パッキングして、お宝の生丸雉燻製の完成~♪(下写真)

IMG16013100.jpg


私の雉燻製に対する思い入れは、27年前に鳥羽国際ホテルの丸雉燻製に出会ったことに由来します。
鳥羽国際ホテルは元々ヤマハが経営するヤマハリゾートの1つで、ヤマハ(当時は日本楽器製造株式会社)4代目、6代目社長でヤマハの中興の祖、そしてヤマハ発動機の創業者であるカリスマ、川上源一氏が進めたリゾート事業の一環で作られたホテルで、開業は1964年(昭和39年)。
1975年(昭和50年)にはエリザベス女王陛下がご宿泊なされて、その折に召し上がられた雉の燻製を絶賛されたといいます。
たまたま知り合いが、1989年のクリスマスに鳥羽国際ホテルからこの丸雉の燻製を送ってくれて食べる機会に恵まれたのですが、その美味しさにビックリしたのです。
いや、正確にはこの雉燻製のあまりの美味しさにビックリして色々調べたら、エリザベス女王陛下も絶賛したということが判って、さも有りなんと思ったのです。
以降私の中ではずっと「燻製は雉が一番」で、その後の雉燻製に対する特別な執着はここから始まりました。

この雉の燻製は、当時は鳥羽国際ホテルでNET購入も出来たと記憶しています。
で、後年のある時にNET購入しようかと鳥羽国際ホテルのサイトを見たら、NET購入できる商品から雉の燻製が無くなっていたのです。
インターネット上にはあちこちに過去の色々なキャッシュが一定期間残っていたりします。
調べてみたら案の定、雉の燻製を扱っていた頁のキャッシュが検索できて、それまで取り扱っていた雉燻製をいつの時点かで取り扱い中止したことが判りました。
エリザベス女王陛下も絶賛したほどの雉の燻製の取り扱いを何故中止するのか全く理解できません。
その理由と、再度入手できる手が無いものかと調べてみて色々経過が判りました。

稀代の名経営者(と言うより名企業家かなぁ・・)と言われた川上源一氏も、ご子息川上浩氏が7代目社長の時に、ピアノ、エレクトーンの販売不振やリゾート事業の不振などが重なった折、川上源一氏のワンマンな体質もあって、1992年に労働組合から進退を問われ、川上浩社長ともども相談役を退し、以降ヤマハの経営から身を引かれました。
鳥羽国際ホテル自体も2007年(平成19年)にはヤマハから三井不動産に身売りされ、経営母体が変りました。
鳥羽国際ホテルで扱っていた雉燻製の雉は川上源一氏の指示で作られた雉牧場で飼育し供給していたようですが、川上源一氏が経営から身を引かれるに伴い、この牧場も閉鎖されて牧場の責任者もヤマハを去ったようです。
この方(牧場の責任者)は牧場のキジ数羽と処理機械の払い下げを受けて、自分でキジの飼育を続けたようで、あるいはその雉をその後しばらく鳥羽国際ホテルにも供給したのかも知れません。
2002年に川上源一氏はお亡くなりになりました(享年90)。
この川上源一氏を送る会でシンガーソングライターの中島みゆきさんは、それまでず~っと歌っていなかった「時代」を歌っています。
川上源一氏は財団法人ヤマハ音楽振興会の設立者でヤマハポピュラーコンテスト(通称ポプコン)の創設者でもあり、第10回ポプコンで中島みゆきさんに才能を感じるとして「グランプリ」を事実上決定した本人であり、その時の受賞した曲が「時代」です。
そしてこの曲は翌年世界歌謡祭でも優勝(グランプリ)し、その後中島みゆきさんは一気にメジャーになって行きます。
その川上源一氏を送る会ですから、「時代」以外の曲は有りえなかった筈です。

雉の話に戻れば、自分でキジの飼育を続けた牧場の責任者の方も2012年にお亡くなりになり、川上源一氏の指示で始まったキジの飼育はこれで完全に終わってしまったようです(元々の雉も飼育ノウハウも川上源一氏が持ち込んだとのことです。)。
鳥羽国際ホテルで雉の燻製の通販取り扱いを中止した(又はせざるを得なかった)時期は、2007年の経営母体が三井不動産に変わった時期なのか、2012年の牧場の責任者の方がお亡くなりになって雉生産ができなくなった時期なのか、どの時点かは判りませんが、こうしてみると随分色々な事情があったようです。
鳥羽国際ホテルは丸雉燻製のNET販売はしていないけれど、料理の中には今でも雉燻製があります。
なので、泊まりにいって食べることは出来るかも知れないけれど、もう雉自体が違っていますし、川上源一氏の拘りが無くなった状態で、当時の味が維持できているとは到底思えません。

さて、今回の生丸雉の燻製の続きの話です。
出来上がったこの生丸雉の燻製は、出来上がり直ぐ原木生ハム仕込み&新年会イン東京に持っていって、みんなで食べたのですが、それは期待に違わず、これまでより格段に美味しかったのです。
私の持論は、「燻製は雉、焼きは窒息鴨」。
燻製にして一番美味しいのは雉だし、雉を一番美味しく食べる法方は燻製だと固く信じて疑いません(笑)。
もういちいちブログ記事にはしていないけれど、これまで何十回も丸雉燻製を作っています。
燻製の腕も上がり、特に丸雉燻製ならではのノウハウも随分出来てきて、食べて頂いた方からはいつも絶賛を頂戴してきたけれど、私自身は27年前に食べた鳥羽国際ホテルの丸雉燻製の味に較べたら、まだ少し足りないなぁと思っていました。
当時、鳥羽国際ホテルで供していた雉燻製は、ヤマハ自体が雉牧場を持っているのだから、当然生の雉を使っているだろうし、かの川上源一氏の肝いりで始まった雉牧場ですから、飼育法や飼料も相当拘りを持っていた筈です。
だから私の覚えている鳥羽国際ホテルの丸雉燻製の味を出すためには、冷凍の雉ではどだい無理で、そのため、常々平飼い、放し飼いの生の雉を入手したいと思っていたのです。
今回入手できたのは放し飼いの最も味の乗った時期の生の雉で、まさに願っていたもの。
これで作った今回の丸雉燻製、それを食べてすぐ判りました。・・・27年かかったけれど、やっと超えられたかな♪
でもこの生雉は何時でも手に入るものではないので、もし運良く次の機会があるとすれば又1年後(笑)。

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Categorie燻製  トラックバック(0) コメント(16) TOP

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なんとー!duck師匠の雉燻製にはそんな歴史があったのですね。

送って頂いた雉は普段丸鳥を面倒だから、と好まない旦那ですらむしゃぶりついていたくらいですけど
あれよりも美味しいんですねー。

よ、よだれが。。。

caie:2016/02/10(水) 08:11 | URL | [編集]

歴史は、食べ物の歴史でもあります。
そんな拘りのロマンを追い続けるduckbilさんは、
とても素敵でお幸せな方です。

我が家もバブルの頃には、
キャビアやからすみに舌鼓をうち、ドンペリをあおったものです。
今思えば、とてもばかばかしく思えますが、
その味だけは、今でもしっかり憶えています。
ワインの味をいろいろ憶えたのも、その頃ですね。



緋子:2016/02/10(水) 10:54 | URL | [編集]

う~む・・・良い物語ですねえ・・・。
まわる~まわるよ 時代はまわる~♪
たいへん興味あるお話でした。m(__)m

それほど思い入れのある味を超えた・・・。/(゚o゚)ゝ
それはさぞ旨いものなんでしょうねえ・・・。f(^Q^;)

akkyan:2016/02/10(水) 11:03 | URL | [編集]

> caieさん
そう、27年も引きずった想い。
やっと超えられて、何だか成仏できそう(爆)

> あれよりも美味しいんですねー。
美味しいよ~(笑)
いつもの雉燻の雉も冷凍物だけれど、放し飼い物です。
今回のはそれよりさらに旨みが濃いです。

duckbill:2016/02/11(木) 00:57 | URL | [編集]

> 緋子さん
食い意地が張っているものだから、この雉燻製もついつい27年追い続けてしまいました(笑)。

言われてみると、鳥羽国際ホテルの雉燻製を頂いた頃は確かにバブルの頃ですね。
バブルがはじけた今では嫌味になるけれど、当時は一見さんが行けないような店にも随分行きました。(^^;ゞ
私も、味の記憶がず~っと残るタイプだから、取り合えず無駄にはならず、その時覚えた味が今の基本になっているような気がします。

duckbill:2016/02/11(木) 01:00 | URL | [編集]

> akkyanさん
思い出の雉燻の調査から、その裏に興味深い色々な物語が隠れていました。
今回書いたものはその一部。

稀代の経営者が色々なことに拘り、それに携わった部下の努力が詰まった雉燻製だもの。
一度食べたら27年も引きずられる訳ですネ。
今回の雉燻製にはさらに私の27年の想いが加わりましたから(笑)、重い・・・いや、旨いです♪

duckbill:2016/02/11(木) 01:01 | URL | [編集]

実はつい先日、食品の展示会(見本市みたいなもの)で、
北海道の鶏醤を薦められ、見本を数本いただいて帰りました。

普段、鮎の魚醤を使っているので、
まだこの肉醤の味を試してはいないのですが、ちょっとばかり期待しています。

雉醤も、duckbillさんのお手にかかると、
素晴らしいものができるのではないでしょうか?

もう仕込んでいらっしゃるかもしれませんね。

緋子:2016/02/11(木) 20:05 | URL | [編集]

> 緋子さん

> もう仕込んでいらっしゃるかもしれませんね。
6年くらい前から肉醤や肉節を仕込む計画はあったのだけれど、肉醤の方はまだトライしていません。
肉節は猪節を作ったのだけれど、魚節のように濃い出汁が取れないのです。(^^;
ちょっと意外でした。

肉醤は、魚に比べ水分含有量が少ないので、塩に漬けて何処まで醤が上がってくるかと、醤に何処まで旨味が出るかなぁというのが気になっているところ。
鶏醤、使ってみてぜひとも感想(特に魚醤と比較した旨味の量)を教えて下さい。

duckbill:2016/02/12(金) 02:12 | URL | [編集]

このコメントは管理人のみ閲覧できます

-:2016/02/12(金) 11:07 | | [編集]

> 鍵コメさん
メールをお出ししました。

duckbill:2016/02/13(土) 00:20 | URL | [編集]

かものはし様の雉燻製には27年ものヒストリーが込められていたのですね。

そして、終にエリザベス女王も絶賛した味を超える一品が陽の目を見たのですから、これはもう雉牧場様とコラボして「幻の雉燻製」を製造販売なさることを期待します。

もちろん、ヒストリーパンフをお付けになると一層味わい深いものになるでしょう。

でもすぐ売り切れちゃうでしょうね。

akicici:2016/02/23(火) 09:59 | URL | [編集]

> あきちゃん
そうなんです。27年ずっとこだわり続けていたもの(笑)
それなりの雉が手に入れば、技術の方は何とかなっているのが判りました。
資格も必要なので、製造販売まではなかなか(笑)
今度試すのは狩猟ものの雉・・・かな(笑)

duckbill:2016/02/24(水) 00:13 | URL | [編集]

おはようございます。

カリスマ川上源一氏について、もう一つ、
あの名車、トヨタ・2000GTを作ったのもヤマハ発動機。
当時、私はトヨタS800(ヨタハチ)に乗っていたのですが、
トヨタ・2000GTは、億万長者だけが手にできる、
夢のような車でした。

源一氏は、多岐にわたり、
まさに、オンリーワンを手にした方だと思いますが、
本当にいい時代でもありました。

その一つが、今こうしてduckbilさんの手によってよみがえり、感無量です。

ナイス♬♩♫♪~☺~♪♫♩♬

緋子:2016/02/26(金) 09:33 | URL | [編集]

このコメントは管理人のみ閲覧できます

-:2016/02/26(金) 09:43 | | [編集]

> 緋子さん
そうそう、あの名車トヨタ2000GTはヤマハ発動機が開発した車なんです。
その辺の物語も大変興味深いのです。
えー!ヨタハチに乗ってたの?
結構好き物だったのですね(笑)。

川上源一氏はそのワンマンさを批難する人も多いかも知れないけれど、まさにその時代の傑物だと思います。
こういう型破りの傑物が存分に腕を振るえた時代はよき時代でした。
今はゴマ粒みたいな経営者だけだもの。(^^;ゞ

雉燻製も、私の中で超えて私の想いが解決したのであって、あんまり超えたー!って言うとそれこそ人生をかけてやっていた関係者はそれぞれの思い出を土足で踏み荒らされるようで不快に思うかもしれません(笑)。
そっと自分の中で自己満足したいと思います♪

duckbill:2016/02/26(金) 21:02 | URL | [編集]

> 鍵コメさん
何とか楽しんで頂けて幸いです♪

duckbill:2016/02/26(金) 21:03 | URL | [編集]

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