続44・野のキノコ
時々は山菜も加わります。
勿論まだ知識不足なので、推定できなかったり、推定間違いだったりすることも多い筈です。
掲載したキノコや山菜のそんなケースで、正しい名前をお判りの方がおられましたら、ぜひにも教えて頂けると大変嬉しいのです。・・・宜しくお願いいたしますm(_ _)m
なお、この記事で食べられる、又は食べたと掲載したキノコや山菜の安全を保障するものではありません。
特にキノコは食菌と知られていても、人によっては中毒を起こしたりすることもあります。
野のキノコや山菜を食べて楽しむのはあくまで自己責任でお願いいたします。
※全ての写真は、クリックすればより大きなサイズでご覧になれます。
7/28日(木)
例年なら私の周りでは7月中旬位にはすっかりキノコが消えて、また秋になって発生するパターンなのですが、某きのこ掲示板を見ていたら、近い地域の方がチチタケを採取していました。
もうこの時期はキノコは無いと思い込んでチェックにも行っていなかったけれど、ひょっとしたらマイスポットでもチチタケが採れるかもと、昼休みに久しぶりにチェックに行ってみたのです。
行ってみてビックリ。
7月も末なのに、まだ色々キノコが発生しています。
まず、ヤマドリタケモドキ(食菌)(下写真2枚)
※イグチ科ヤマドリタケ属ヤマドリタケモドキ(Boletus reticulatus)
種小名のreticulatusはラテン語で「網目の」という意味ですが、柄の下から上まである網目が特徴です。
こちらはガンタケ(食注意)(下写真2枚)。
※テングタケ科テングタケ属ガンタケ(Amanita rubescens)
種小名のrubescensはラテン語で「赤くなる」の意味ですが、実際傷ついた部分が赤変するのが特徴です。
アカヤマドリ(食菌)の幼菌も何本か(下写真2枚)。
※イグチ科アカヤマドリ属アカヤマドリ(Rugiboletus extremiorientalis (Lj.N. Vassiljeva) G. Wu & Zhu L. Yang)
※新分類でヤマイグチ属(Leccinum)から新設のアカヤマドリ属(Rugiboletus)に変更されました。
種小名のextremiorientalisはラテン語で、extremi(極めて) + orientalis(東方の)ですから、「極東の」という意味でしょうか。
実際の分布も極東アジア地域のようです。
クロハツモドキ(食注意)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※ベニタケ科ベニタケ属クロハツモドキ(Russula densifolia (Secr.) Gill.)
種小名のdensifoliaはラテン語で、densi(密な、密度のある) + folia(葉)なので、「密なヒダ」という意味になるでしょう。
実際クロハツと比べ、密なヒダが大きな違いです。
多分センボンイチメガサ(食菌)?(下写真左)
※モエギタケ科 センボンイチメガサ属センボンイチメガサ(Kuehneromyces mutabilis (Schaeff.:Fr.) Sing. & A.H.Smith)
種小名のmutabilisはラテン語で、「変化しやすい」という意味です。
こちらはホオベニシロアシイグチ(食菌)(下写真右)。
※イグチ科ニガイグチ属ホオベニシロアシイグチ(Tylopilus valens (Corner) Hongo & Nagasawa)
イロガワリ(食菌)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※イグチ科ヤマドリタケ属イロガワリ(Boletus pulverulentus Opat)
種小名のpulverulentusはラテン語で「粉を被った」という意味だけれど、傘表面は鈍い光沢があるし、一体どの辺りが粉を被っているのか良くは判りません。
アンズタケ(食菌)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※アンズタケ科アンズタケ属アンズタケ(Cantharellus cibarius Fr)
種小名のcibariusはラテン語で「食用の」といった意味。
ウコンハツ(食不適)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※ベニタケ科ベニタケ属ウコンハツ(Russula flavida Frost et Peck apud Peck)
種小名の flavidaはラテン語で、外観通り「黄色っぽい」の意味。
ターゲットのチチタケ(食菌)はやっぱり発生していました(下写真4枚)。
嬉しいゾ♪♪
※ベニタケ科チチタケ属チチタケ(Lactarius volemus (Fr.:Fr.) Fr.)
種小名のvolemusは海外のwikipediaによれば、ラテン語のvolaに由来していて、意味は「手のくぼみ」であると記述されています。
また、"Texas Mushrooms by Susan Metzler and Vab Metzler"には、volemusは「手の平を満たすための十分な流出」を意味して、それは切られるか、壊れたとき、このキノコから滲み出る乳液のおびただしい量の事からきていると記述されています。
この日の収穫は、チチタケ、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、アンズタケ(下写真)。
このチチタケは当然チタケウドンに。
上手く作るコツも大分判ってきたかな(下写真)。
7/29日(金)
昨日チチタケが採れたものだから、すっかり気を良くして、また昼に別のスポットもチェックしてきました。
こちらでもヤマドリタケモドキ(食菌)が発生(下写真)。
アカヤマドリ(食菌)もいます(下写真)。
残念ながらこちらではチチタケは見つからなかったけれど、ヤマドリタケモドキとアカヤマドリは一応採取してきました(下写真)。
ヤマドリタケモドキは塩水に20分ほど漬けて虫出しをした後、スライスして自作ディハイドレーターでカラッカラに乾燥。
国産のドライポルチーニ茸が64.0g完成(下写真)。
7/30日(土)
この日は週末の散策日で真鶴半島を一周。
途中見かけたキノコは、ツブカラカサタケ(食毒不明)。
柄には硬質のツバがある筈だけれど、抜け落ちやすいようで見当たりません(下写真左:傘表、下写真右:傘裏&柄)。
※ハラタケ科シロカラカサタケ属ツブカラカサタケ(Leucoagaricus meleagris (Sowerby) Sing.)
※新分類でキヌカラカサタケ属(Leucocoprinus)からシロカラカサタケ属(Leucoagaricus)に変更になりました。
8/6日(土)
この日は週末の散策日で三頭山(1,531m)に登りました。
平地はキノコの姿が消えたけれど、気温の低い山はまだまだキノコが生えています。
キアミアシイグチ(食不適)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※イグチ科キアミアシイグチ属キアミアシイグチ(Retiboletus ornatipes (Peck))
※新分類でヤマドリタケ属(Boletus)からキアミアシイグチ属(Retiboletus)に変更になりました。
不明なイグチ。
柄には網目があって、不思議な質感の傘表面です(下写真左:傘表、下写真右:傘断面&柄)。
色は薄いけれどハナイグチ(食菌)に見えます。
三頭山でハナイグチが採れるのですねぇ(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)。
※イグチ科ヌメリイグチ属ハナイグチ(Suillus grevillei (Klotz.) Sing)
8/29日(月)
家内がテニスの帰りにキノコを採取してきました。
酷暑期も過ぎて、また平地にもキノコが発生してきたようです。
左上から時計回りに、テングタケ(毒菌)、ヤマドリタケモドキ(食菌)、ツルタケ(食注意)、カワリハツ(食菌)、キチャハツ(食不適)でしょうか(下写真)。
※テングタケ科テングタケ属テングタケ(Amanita pantherina (DC. : Fr.) Krombh.)
※テングタケ科テングタケ属ツルタケ(Amanita vaginata (Bull.:Fr.) Vitt)
※ベニタケ科ベニタケ属カワリハツ(Russula cyanoxantha (Schaeff.) Fr.)
※ベニタケ科ベニタケ属キチャハツ(Russula sororia (Fr.) Romell)
9/1日(木)
またまた家内がテニスの帰りにキノコを採取してきました。
タマゴタケ(食菌)とヤマドリタケモドキ(食菌)です(下写真)。
※テングタケ科テングタケ属タマゴタケ(Amanita caesareoides Lyu. N. Vassilieva)
以前は学名がAmanita hemibapha (Berk. & Br.) Sacc.とされていたのですが、DNA解析の結果、 中国やロシアに分布するAmanita caesareoidesであることが判明し、変更されました。
ラテン語で-oidesは○○に似たという意味なので、caesareoidesは「西洋タマゴタケ(Amanita caesarea)に似た」という意味。
西洋タマゴタケのように柄にダンダラの無いタマゴタケも国内で見つかっており、日本にも西洋タマゴタケがあるのではないかと話題になったこともあったのですが、このダンダラの無いタマゴタケもcaesareoidesなのだそうです。
9/3日(土)
この日は東京きのこ同好会が主催する富士山きのこ観察会の下見に行ってきました。
9/10日に一般会員を対象とした富士山きのこ観察会を行うので、幹事によるその下見会となります。
私は本番と同じ精進口登山道に沿って、5合目から3合目まで下るルート(下写真)。
早々に美味しいキノコのオオカシワギタケを発見(下写真)。
※フウセンタケ科フウセンタケ属オオカシワギタケ(Cortinarius saginus (Fr.) Fr.)
ヤマドリタケ(ポルチーニ)(食菌)も発見(下写真)。
※イグチ科ヤマドリタケ属ヤマドリタケ(Boletus edulis Bull.: Fr.)
種小名のedulisはラテン語で「食用の」といった意味ですから、美味しいキノコは学名からしてもう食べるためにあるようです(笑)。
ショウゲンジ(食菌)は結構発生しています(下写真)。
※フウセンタケ科フウセンタケ属ショウゲンジ(Cortinarius caperatus)
※新分類でショウゲンジ属(Rozites)からフウセンタケ属(Cortinarius)に変わりました。
種小名のcaperatusはラテン語で「皺のある」といった意味ですが、実際ショウゲンジの傘には特徴的な放射状の条線があり、少し古くなるとそれが皺状になります。
本番同様に3合目広場で鑑定会(下写真)。
※鑑定後、キノコは全て集められて放射線量測定にかけ、富士山のキノコの放射線量データとなります。
いつもの通り、この日見たキノコを確認できる範囲でメモしておきます(アイウエオ順)。
アイシメジ、アカタケ、アカツムタケ、アケボノドクツルタケ、 アブラシメジモドキ、アミハナイグチ、アメリカウラベニイロガワリ、 アンズタケ、イロガワリシロハツ、ウズハツ、ウツロベニハナイグチ、 ウラグロニガイグチ、オオウスムラサキフウセンタケ、オオカシワギタケ、 オオキツネタケ、オオキノボリイグチ、オニウスタケ、カキシメジ、 カラマツチチタケ、カワリハツ、キイロイグチ、キシメジの仲間、 キノボリイグチ、キハツダケ、キヒダヌメリガサ、キヒダマツシメジ、 キンチャワンタケ、クサイロハツ、クヌギタケ、クリカワヤシャイグチ、 クロカワ、クロハツ近縁種、クロハツモドキ、クロラッパタケ、ケロウジ、 コガネフウセンタケモドキ、ショウゲンジ、シロヌメリイグチ、シワカラカサタケ、 スギタケ、スギタケモドキ、タマゴタケ、ツバアブラシメジ、ツバフウセンタケ、 ツリガネタケ、ツルタケ、トキイロラッパタケ、ドクツルタケ、ドクヤマドリタケ、 ヌメリアカチチタケ、ヌメリササタケ、ハナイグチ、ハナガサタケ、 バライロウラベニイロガワリ、ヒグマアミガサタケ、フウセンタケモドキ、 フジイロタケモドキ、ベニテングタケ、フジサンホウキタケ、ホコリタケ、 ミイノモミウラモドキ、ミキイロウスタケ、ミネシメジ、ミヤマタマゴタケ、 ムラサキイロガワリハツ(キイロケチチタケ)、モウセンアシベニイグチ、 ヤマイグチ、ヤマドリタケ、ワタカラカサタケ、ワタゲヌメリイグチ
9/10日(土)
この日は東京きのこ同好会主催の富士山きのこ観察会です。
前記したように、私は精進口登山道に沿って、5合目から3合目まで下るルート(下写真)。
3日の下見ではあまり出ていなかったキノボリイグチ(食菌)も今日は随分出ています(下写真2枚)。
※イグチ科ヌメリイグチ属キノボリイグチ(Suillus spectabilis (Perk) O.Kuntze)
種小名のspectabilisはラテン語で「人を惹きつける」の意味。
富士山には多いウツロベニハナイグチ(食不適)(下写真)。
※イグチ科アミハナイグチ属ウツロベニハナイグチ(Boletinus asiaticus Sing.)
種小名のasiaticusはラテン語で、「アジア産の」の意味。
この種小名通り、主に極東アジアの寒冷地や高地のカラマツ林に分布する種類であって、別名アジアカラマツイグチとも言われます。
一般には食べるに値しないと言われていますが、大抵は食べたことが無い人が受け売りで言っているか、調理法が合ってないだけ。
言われるほど酷くは無く、まあまあ美味しく食べられるけれど、弱~い苦みがあります。
この精進口登山道沿いでは、例年この時期は枯沢を境として上がウツロベニハナイグチ、下がカラマツベニハナイグチという分布だったのですが、今年は全てウツロベニハナイグチに替わり、カラマツベニハナイグチは見られませんでした。
今年は富士山もキノコの発生状況が少し変化しているようです。
ヤマイグチ(食菌)(下写真)。
※イグチ科ヤマイグチ属ヤマイグチ(Leccinum scabrum (Bull.:Fr.) S.F.Gray)
種小名のscabrumはラテン語で、「ザラザラ」したの意味。
柄の事であれば、確かに黒い粒点があってザラザラした表面と言えますね。
ハナイグチは随分発生しています(食菌)(下写真2枚)。
※イグチ科ヌメリイグチ属ハナイグチ(Suillus grevillei (Klotz.) Sing)
種小名はRobert Kaye Greville氏への献名のようです。
キヌメリガサ(広義)(食菌)(下写真左:傘表、下写真右:傘裏)
※キシメジ科ヌメリガサ属キヌメリガサ(Hygrophorus lucorum Kalchbr.)
富士山には多いヌメリササタケ(食菌)(下写真)。
※フウセンタケ科フウセンタケ属ヌメリササタケ(Cortinarius pseudosalor J.Lange)
種小名のpseudosalorは、pseudo + salor。
Cortinarius salorはフウセンタケ属ムラサキアブラシメジモドキの学名ですから、
ラテン語で、pseudo(偽の) + salor(ムラサキアブラシメジモドキ)という意味となります。
こちらも多いアブラシメジモドキ(食菌)(下写真)。
※フウセンタケ科フウセンタケ属アブラシメジモドキ(Cortinarius mucosus (Bull. :Fr.) Kickx)
種小名のmucosusはラテン語で、「粘液質の」といった意味で、種小名通りヌメリの強いキノコです。
死の天使、猛毒ドクツルタケ(下写真)。
※テングタケ科テングタケ属ドクツルタケ(Amanita virosa (Fr.) Bertillon)
種小名のvirosa はラテン語で「毒のある」という意味。
毒菌だらけのテングタケ属でわざわざ毒のあるという名前が付けられるですから、まさに最凶の猛毒菌です。
標高が高い処に発生する真のドクツルタケは見ての通り、大型で柄が太く、強くササクレています。
平地に生えるドクツルタケと言われていたキノコは、正しくはアケボノドクツルタケかニオイドクツルタケのどちらかなのだそうです。
まあ、どれであっても猛毒には変わりありませんが(笑)。
ミヤママスタケ(食菌)がビッシリ(下写真)。
※ツガサルノコシカケ科アイカワタケ属ミヤママスタケ(Laetiporus montanus Cerny ex Tomsovsky & Jankovsky)
DNAの分析結果でこれまでマスタケとされていたものが、針葉樹に生えるものと広葉樹に生えるものが違う種であることが判り、針葉樹型をミヤママスタケ(深山鱒茸)、広葉樹に生えるものをマスタケ(Laetiporus cremeiporus)と二つに分離されました。
ミヤママスタケの種小名montanusは、ラテン語で「山の」という意味です。
3合目の広場で全員が採取してきたキノコを並べ、鑑定会。
鑑定後、H先生とM先生の採取キノコに対する説明がありました。
※鑑定後、キノコは全て集められて放射線量測定にかけ、富士山のキノコの放射線量データとなります。
いつもの通り、この日見たキノコを確認できる範囲でメモしておきます(アイウエオ順)。
アイシメジ、アカアザタケ、アカハツ、アカヒダササタケ、アカヤマタケ、 アブラシメジモドキ、アミハナイグチ、アメリカウラベニイロガワリ、アンズタケ、 イロガワリキイロハツ、ウスタケ、ウツロベニハナイグチ、ウラベニイロガワリ、 エセオリミキ、オオウスムラサキフウセンタケ、オオカシワギタケ、オオキツネタケ、 オオキノボリイグチ、オオダイアシベニイグチ、オニナラタケ、カキシメジ、 カノシタ、カベンタケモドキ、カラマツシメジ、カラマツチチタケ、カワリハツ、 キイロイグチ、キサマツモドキ、キシメジ、キヌメリガサ、キノボリイグチ、 キハツダケ、キヒダマツシメジ、クギタケ、クサイロハツ、クヌギタケ、 クリカワヤシャイグチ、クロラッパタケ、ケロウジ、コウタケ、コクリノカサ、 コチャダイゴケ、ゴヨウイグチ、ショウゲンジ、シロナメツムタケ、 シロヌメリイグチ、スギタケモドキ、タマゴタケ、ツバフウセンタケ亜属、 ツルタケ、トキイロラッパタケ、ドクツルタケ、ナガエノチャワンタケ、 ニシキタケ、ニッケイタケ、ヌメリササタケ、ネズミシメジ、ハナイグチ、 ハナガサタケ、ヒグマアミガサタケ、ヒロハアンズタケ、フウセンタケモドキ、 フジウスタケ、ベニテングタケ、ホウキタケ、ホコリタケ、マツタケ、 ミキイロウスタケ、ミネシメジ、ミヤマアミアシイグチ、ミヤマタマゴタケ、 ミヤママスタケ、ムラサキイロガワリハツ(キイロケチチタケ)、 ムラサキフウセンタケ、モウセンアシベニイグチ、ヤマイグチ、ヤマドリタケ、 レモンハツ、ワタカラカサタケ
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