原木生ハムの山下げ2016
元々が料理好きが集まったオフ会なので料理がメインで、このオフ会の間、料理を作りまくり、食べまくりのキッチンスタジアム状態になります。
でもこの料理の方は後日に別記事にするとして、この秋のオフ会は「キノコ狩り」と「原木生ハムの山下げ」という重要なイベントもあるオフ会なのです。
先日、「キノコ狩り」の方はこちらの記事にしました。
そしてこの記事は「原木生ハムの山下げ」の記事になります。
酷暑期の室内でも原木生ハムを腐敗させないように維持するのは比較的容易いのですが、高温時の脂肪の酸化だけはいかんともし難いのです。
豚の脂に殆ど価値を与えない日本では、ハモンセラーノの熟成された旨みだけを注目しがちだけれど、熟成して融点の低くなった脂の甘さと香りがハモンセラーノの身上です。
原木表面の脂が酸化して茶色になるのは致し方ないけれど、高温下では一気に内部の脂まで酸化が進んでしまい、ハモンセラーノの価値が半減してしまいます。
そのため私どもの原木生ハム作りは、梅雨~酷暑期は夏でも涼しい白樺湖山荘に吊るし、山荘が凍結する寒い時期は各家庭に吊るして熟成させるという方式をとっています。
その各家庭→山荘への原木移動を「山上げ」、山荘→各家庭への原木移動を「山下げ」と呼んでいます。
さて、山荘に吊るしていた原木の状態はこんな感じ(下写真)。
8月のオフ会時に表面を水洗い後、乾燥、オイル塗布をしておいたので、毛足の長いカビがモアモアと発生することもなく、酵母菌や良質のカビが適度に覆っていますナ。
この状態なら清掃も楽な筈。
まずはその清掃。
全ての原木を水洗いし、廊下に敷いた新聞紙の上に並べて水切り。
生ハムメンバーが一生懸命やってくれました(下写真)。
表面が乾いた原木からパストリーゼで表面殺菌し、再度吊るして、帰る時に各々持ち帰ります。
今回は山荘で生ハムメンバーに原木生ハムのレクチャーを行いました(下写真)。
原木生ハムの作り方のほうはこれまで何度かレクチャーをやって、製作用の資料もお渡ししていますので、今回のレクチャーは清掃や消費・維持・管理のやり方に関する部分。
で、レクチャー内容は
1.熟成中の原木の清掃について(時期・回数・方法)
2.ハモネロセット前の原木表面の清掃について・・・実践含み
3.ハモネロへのセット仕方(向き等)について・・・実践含み
4.最初の切り出し方(切り出し面を覆うための脂肪薄片の確保など)について・・・実践含み
5.消費中の切り出し面の管理・維持方法について
さて我が家が持ち帰った原木は全部で4本。
持ち帰った原木を自宅で再度丁寧に水洗いし、2日間ほど扇風機乾燥。
その後、表面をパストリーゼで殺菌し、乾いてからオリーブオイルを塗布、室内に吊るします。
こちらが1年物原木2本(下写真)。
これは来年の5月まで自宅で熟成させた後にまた白樺湖山荘に山上げし、2年熟成物にします。
こちらが2年熟成物(下写真)。
先に消費する3年熟成物がなくなったら消費に回します。
こちらが消費を始める3年熟成物(下写真)。
これは2年熟成物で途中まで消費していたものを、消費面をパテで覆い山上げしていたもので、足裏側が寛骨が出たところまで既に食べていて無くなっています。
今回山下げ時に34ヶ月ちょっとと、正確には3年には2ヶ月弱足りないけれど、食べ進めるうちにまる3年は経過しますナ。
表面を綺麗に清掃した後、逆側(足の甲側を上に)でハモネロにセットしました。
よくカビカビのまま切り進めている写真があるけれど、消費を始めたら一切のカビは厳禁です。
ハモネロにセットする前には、カビどころか、一欠けらの汚れも全て綺麗に削り取ります。
早速切り始めました(下写真2枚)。
こちら側は大腿筋の前側になり、サシの入る後ろ側(お尻側)と違って脂の少ない部位です。
流石3年物、申し分ない味と香り。
熟成して融点が低くなった脂が柔らかく、甘く、ハモンセラーノ特有のあの素晴らしい香りを出します。
切り始めですから、ほんの少し水分が多い状態。
少し切り進める内にすぐジャストな状態に持っていける筈です。
下のランキングに参加しています。記事がまあまあ良かったから応援しようという方、それ程でもないが今日は気分がいいから応援しようという方、俺ゃー心が広いから応援ばしちゃるという方、是非クリックして応援お願い致します。m(_"_)m |