高山製粉の超粗挽き蕎麦粉「手挽きメッシュ」を十割で打つ
○2018 No.46 手挽きメッシュ十割(生粉打ち、水捏ね) 2人前
蕎麦粉:高山製粉「手挽きメッシュ」 250g、加水61.4%)
※手打ち麺は今年から1年通しのロットナンバーを入れています(2018 No.45はこちら)
「さらしな生一本(湯捏ね)」をパーフェクトにクリアできた勢いのあるうちにと、この日のお昼に、残った二つの課題の内の一つ、高山製粉の超粗挽き蕎麦粉「手挽きメッシュ」の十割(生粉打ち、水捏ね)にチャレンジしてみたのです。・・・10/22日
さて、捏ね鉢に篩った「手挽きメッシュ」。
通常、粗挽き蕎麦粉は粗いといっても一応粉の範疇だけれど、これは明らかに違う。
見て判る通り、蕎麦粉というより、粒です(下写真)。
ちなみに、高山製粉の社長さんとお会いした友人の話では、社長さんは「手挽きメッシュの十割は無理でしょう〜」っておっしゃっていたそうです(笑)。
この蕎麦粉、元々は他の蕎麦粉に1~2割混ぜて使用する用途の粉で、この粉単独で打つ物ではないのだけれど、何とこれを十割(生粉打ち、水捏ね)で打つ方がいます。
勿論、現時点での私の知る限りでは、打てるのはその一名のみだけれど、打てると判ったらダメ元で挑戦してみたいもの。
と言うことでトライをしたのです。
打っている途中の状況(特に水回し)は、通常の蕎麦粉では有り得ない驚きの連続でした。
うどんなら加水率を変えて、モチモチな食感のうどんやゴリゴリな食感のうどんを、打ち分けられるのだけれど、蕎麦は最適な加水率は一点だけで、それを外すと蕎麦になりません。
加水不足とか加水過多であるとかの加水状態。
他の蕎麦粉での蕎麦打ちと決定的に違うのは、この加水状態に時間のパラメータが加わること。
具体的に言えば、この「手挽きメッシュ」はほんのちょっと時間が経過するだけで、加水状態が加水過多から加水不足へ急激に変化していくのです。
粗い粒の吸水はかなり時間が掛かります。
なので粗挽き粉の場合は多かれ少なかれこのような傾向になるのは、はなっから承知だけれど、通常の粗挽きより粗く、かつ粗い粒の割合が極端に多い「手挽きメッシュ」の場合、特にその生粉打ちでは、この加水状態の変化が、想定以上にかなり極端に現れるようです。
想定した加水量の8割程入れた最初の分散加水で既にベタベタのそぼろ状態。
勘違いすれば、加水が多すぎたのかと、ここで慌てて括りに入ってしまうかも知れません。
実際は粗い粒に未だ水が吸水されていない分の水が余って、ベタベタになっているだけで、当然まだ加水不足なのです。
少し時間をかけながら丁寧に手で混ぜ分散を進めると、粗い粒に吸収が進む分、しっとりはしているものの、一応砂状態のそぼろになりました。
さらに1割程度水を加えた2回目の分散加水でも再度ベタベタ状態。
同じように時間をかけて分散を進めたけれど、想定よりは大きめサイズのそぼろで、結構ベタベタのまま。
ベタベタなのでもう括れるかと思ったけれど、中々集まってはこない。
残りの水を入れながら何とか括ったけれど、手にくっついて纏めるのも大変な程のズル玉状態。
このズル玉状態を少し捏ねていたら、粗い粒にさらに吸水が進んだようで、今度は一気に固く締まってしまいました。
捏ねた圧力が、粗い粒への吸水を加速させたきらいはあるかも知れません。
それ程、変化は急激でした。
手について纏めにくい程加水過多のズル玉が、いつの間にか固く締まって菊練りも出来ない位の、加水不足の生地に変わる不条理。
菊練りが難しいので、手水を付け、手の中で回しながら押して空気を抜くようにし、何とかへそ出しまで纏めました(下写真)。
へそを押して丸く平らにしたけれど、加水不足で割れやすいですから、この後四角く手延しして、丸延しを省略した方が賢明のようです(下写真)。
畳んで切り始めたけれど、畳み目は見事に割れていますから、畳み幅の蕎麦になります(下写真)。
これは生地が加水不足気味であるためですが、前述したように、粗い粒の吸水とともにそうならざるを得ない訳で、何とも悩ましい。
畳み目で割れるのは想定内だったので、刃渡りギリギリまで畳み幅を大きくしたけれど、さらに幅広い畳み幅でも切れるように、刃渡りの長い蕎麦切り包丁(360mm)が欲しいゾ(笑)。
取りあえず切りました(下写真)。
切る感触は通常の蕎麦切りとは違って、ゴリゴリッと抵抗があります。
この感じでは、切る時の抵抗で畳み目で割れたケースもありそうです。
かなり研いではいるのだけれど、安いステンレス包丁で切れ味は悪く、青紙等の鋼材の包丁じゃないと、この蕎麦には少し辛いかな。
茹では45秒。
少し短いけれど、ちゃんと蕎麦にはなりました(下写真)。
これが高山製粉「手挽きメッシュ」十割蕎麦(水捏ね、生粉打ち)の麺線のアップ(下写真)。
少し短いのを、そして若干太切りなのを除けば、もう自分の理想の蕎麦そのもの。
歯ごたえ、香り、味と、申し分ありません。
畳み幅の蕎麦にはなったけれど、これは元々想定内。
畳み部分以外の余分な切れは殆どないし、取り立てて失敗した箇所がある訳でもない。
1'st トライだけど、取りあえずクリアしたとしていい・・・かな。
とすれば、これで自分の中で残った蕎麦打ち課題は「湯捏ねではない水捏ねのさらしな生一本」のみになりました。
これは水では決して繋がらないさらしな粉100%を、水捏ねで打つという超~難物な蕎麦です。
今後のためのメモ:
括りから畳みまでの間で、ズル玉から加水不足までに急激変化するのは、何とも扱いにくい。
ひょっとしたら今回は、一番変化の激しい所で、括り~畳みをやったのかも知れ無い。
粗い粒の吸水カーブにもよるけれど、括り手前でもう少し時間を取ってやれば、その後の変化が少なくなることは、十分考えられる。
ただこの時間は、3分とか5分とかのオーダーではない。
括り手前で30分位放置する実験はやってみる価値があるだろう。
もて余すかと思った超粗挽き粉「手挽きメッシュ」も、無事使いこなせて、もう残り僅か。
それにしても、素晴らしい蕎麦粉です。
高山製粉から「手挽きメッシュ」のリピートをしました(下写真)。
蕎麦粉:高山製粉「手挽きメッシュ」 250g、加水61.4%)
※手打ち麺は今年から1年通しのロットナンバーを入れています(2018 No.45はこちら)
「さらしな生一本(湯捏ね)」をパーフェクトにクリアできた勢いのあるうちにと、この日のお昼に、残った二つの課題の内の一つ、高山製粉の超粗挽き蕎麦粉「手挽きメッシュ」の十割(生粉打ち、水捏ね)にチャレンジしてみたのです。・・・10/22日
さて、捏ね鉢に篩った「手挽きメッシュ」。
通常、粗挽き蕎麦粉は粗いといっても一応粉の範疇だけれど、これは明らかに違う。
見て判る通り、蕎麦粉というより、粒です(下写真)。
ちなみに、高山製粉の社長さんとお会いした友人の話では、社長さんは「手挽きメッシュの十割は無理でしょう〜」っておっしゃっていたそうです(笑)。
この蕎麦粉、元々は他の蕎麦粉に1~2割混ぜて使用する用途の粉で、この粉単独で打つ物ではないのだけれど、何とこれを十割(生粉打ち、水捏ね)で打つ方がいます。
勿論、現時点での私の知る限りでは、打てるのはその一名のみだけれど、打てると判ったらダメ元で挑戦してみたいもの。
と言うことでトライをしたのです。
打っている途中の状況(特に水回し)は、通常の蕎麦粉では有り得ない驚きの連続でした。
うどんなら加水率を変えて、モチモチな食感のうどんやゴリゴリな食感のうどんを、打ち分けられるのだけれど、蕎麦は最適な加水率は一点だけで、それを外すと蕎麦になりません。
加水不足とか加水過多であるとかの加水状態。
他の蕎麦粉での蕎麦打ちと決定的に違うのは、この加水状態に時間のパラメータが加わること。
具体的に言えば、この「手挽きメッシュ」はほんのちょっと時間が経過するだけで、加水状態が加水過多から加水不足へ急激に変化していくのです。
粗い粒の吸水はかなり時間が掛かります。
なので粗挽き粉の場合は多かれ少なかれこのような傾向になるのは、はなっから承知だけれど、通常の粗挽きより粗く、かつ粗い粒の割合が極端に多い「手挽きメッシュ」の場合、特にその生粉打ちでは、この加水状態の変化が、想定以上にかなり極端に現れるようです。
想定した加水量の8割程入れた最初の分散加水で既にベタベタのそぼろ状態。
勘違いすれば、加水が多すぎたのかと、ここで慌てて括りに入ってしまうかも知れません。
実際は粗い粒に未だ水が吸水されていない分の水が余って、ベタベタになっているだけで、当然まだ加水不足なのです。
少し時間をかけながら丁寧に手で混ぜ分散を進めると、粗い粒に吸収が進む分、しっとりはしているものの、一応砂状態のそぼろになりました。
さらに1割程度水を加えた2回目の分散加水でも再度ベタベタ状態。
同じように時間をかけて分散を進めたけれど、想定よりは大きめサイズのそぼろで、結構ベタベタのまま。
ベタベタなのでもう括れるかと思ったけれど、中々集まってはこない。
残りの水を入れながら何とか括ったけれど、手にくっついて纏めるのも大変な程のズル玉状態。
このズル玉状態を少し捏ねていたら、粗い粒にさらに吸水が進んだようで、今度は一気に固く締まってしまいました。
捏ねた圧力が、粗い粒への吸水を加速させたきらいはあるかも知れません。
それ程、変化は急激でした。
手について纏めにくい程加水過多のズル玉が、いつの間にか固く締まって菊練りも出来ない位の、加水不足の生地に変わる不条理。
菊練りが難しいので、手水を付け、手の中で回しながら押して空気を抜くようにし、何とかへそ出しまで纏めました(下写真)。
へそを押して丸く平らにしたけれど、加水不足で割れやすいですから、この後四角く手延しして、丸延しを省略した方が賢明のようです(下写真)。
畳んで切り始めたけれど、畳み目は見事に割れていますから、畳み幅の蕎麦になります(下写真)。
これは生地が加水不足気味であるためですが、前述したように、粗い粒の吸水とともにそうならざるを得ない訳で、何とも悩ましい。
畳み目で割れるのは想定内だったので、刃渡りギリギリまで畳み幅を大きくしたけれど、さらに幅広い畳み幅でも切れるように、刃渡りの長い蕎麦切り包丁(360mm)が欲しいゾ(笑)。
取りあえず切りました(下写真)。
切る感触は通常の蕎麦切りとは違って、ゴリゴリッと抵抗があります。
この感じでは、切る時の抵抗で畳み目で割れたケースもありそうです。
かなり研いではいるのだけれど、安いステンレス包丁で切れ味は悪く、青紙等の鋼材の包丁じゃないと、この蕎麦には少し辛いかな。
茹では45秒。
少し短いけれど、ちゃんと蕎麦にはなりました(下写真)。
これが高山製粉「手挽きメッシュ」十割蕎麦(水捏ね、生粉打ち)の麺線のアップ(下写真)。
少し短いのを、そして若干太切りなのを除けば、もう自分の理想の蕎麦そのもの。
歯ごたえ、香り、味と、申し分ありません。
※写真をクリックすることで、大きなサイズで見ることができます
畳み幅の蕎麦にはなったけれど、これは元々想定内。
畳み部分以外の余分な切れは殆どないし、取り立てて失敗した箇所がある訳でもない。
1'st トライだけど、取りあえずクリアしたとしていい・・・かな。
とすれば、これで自分の中で残った蕎麦打ち課題は「湯捏ねではない水捏ねのさらしな生一本」のみになりました。
これは水では決して繋がらないさらしな粉100%を、水捏ねで打つという超~難物な蕎麦です。
今後のためのメモ:
括りから畳みまでの間で、ズル玉から加水不足までに急激変化するのは、何とも扱いにくい。
ひょっとしたら今回は、一番変化の激しい所で、括り~畳みをやったのかも知れ無い。
粗い粒の吸水カーブにもよるけれど、括り手前でもう少し時間を取ってやれば、その後の変化が少なくなることは、十分考えられる。
ただこの時間は、3分とか5分とかのオーダーではない。
括り手前で30分位放置する実験はやってみる価値があるだろう。
もて余すかと思った超粗挽き粉「手挽きメッシュ」も、無事使いこなせて、もう残り僅か。
それにしても、素晴らしい蕎麦粉です。
高山製粉から「手挽きメッシュ」のリピートをしました(下写真)。
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