今年仕込んだハシッコ(Hasicco)を仕上げる。
クラテッロはイタリアでは生ハムの最高峰。
クラテッロ・ディ・ジベッロ(ジベッロ村で作られたクラテッロ)の2年物なら、通販で100gが6,000円もする超高級品。
そのクラテッロは、豚の後ろ足の最も良い部分(イタリアではクラテッロと呼ばれる部分で、正確には若干の違いはあるけれど、日本では内腿に相当)を塩漬けし、豚の膀胱に詰めて縛り、熟成させます。
そのクラテッロ部位の反対側(前側)はフィオッコ(Fiocco)と呼ばれる部位で、これも正確には若干の違いはあるけれど、日本では多分芯玉と呼ばれる部位。
このフィオッコ部位を使い、クラテッロと同じ作り方で作られる生ハムがフィオッコとなります。
クラテッロを作る時は、同時にフィオッコも作るのが通常で、いわばクラテッロとフィオッコは兄弟のような生ハム。
クラテッロに比べればサイズも小さく、価格的にも落ちる位置付けだけれど、実際に作ってきたこれまでの結果では、味的にそんなに違いはありません。
さて、豚の後ろ足1本からクラテッロ部位とフィオッコ部位を取った残りには、ランプ(尻)部という結構大きな部位がまだあります。
この残ったランプ部を、これまでは料理に使うかサラミの仕込みに使っていたのですが、クラテッロと比較しても十分フィオッコも美味しいのですから、ひょっとしてこのランプ部位もクラテッロと同じ作り方をしたらいけるかも~♪・・・と言うことで、今年初めて仕込んでみたのがこのハシッコなのです。
勿論、こんなハムはイタリアには無い、完全オリジナルの生ハムです。
端のランプ部位で作るのでハシッコ(Hasicco)と名付けました。
ローマ字スペルの 'shi' を 'si' に、'kko' を 'cco' に替えると、何となくイタリアっぽくなります(笑)
なんだ、おやじギャグかって?・・・・はい、おやぢギャグです。(^^;ゞ
初めて作ったハシッコがクラテッロやフィオッコに比べて、味的にどうなのかが、とても気になります。
貴重な豚膀胱を使ってクラテッロと同じ作り方をする価値があるのかどうか、やっと結論がでます。
クラテッロ、フィオッコ、ハシッコを、高気温時の脂肪の酸化を抑える目的から、今回は初めて真空包装状態で酷暑の夏を経過させました。
取りあえずハシッコだけ仕上げてスライスしてみた結果で、真空包装の評価もしたいし、残ったクラテッロやフィオッコの仕上げ時期も決めようと思っています。
さて、クラテッロ同様にハシッコも仕上げが必要です(下写真)。
紐を切り、パテを剥がし、ぬるま湯をかけながら表面をたわしで丁寧に清掃。
縫い糸を切り膀胱ケーシングを剥き、中にはカビ等の侵入は全くないけれど、一応中もぬるま湯をかけながら表面を丁寧に清掃し、キッチンペーパーで水気を切った後、パストリーゼで殺菌(下写真)。
殺菌したハシッコをキッチンペーパー(不織布タイプ)で包んでボウルに入れ、白ワインをタップリ含んだキッチンペーパーが常にハシッコ表面を覆うように、白ワインを注ぐ(下写真)。
ラップをかけ、3日間放置。
その間、全体が白ワインに良く浸かるように、時々回転させて上下を替える(下写真)。
そして3日後。
ありゃ、1日間違って4日経っていますな(笑)・・・12/2日
まあ大勢に影響はありません。
キッチンペーパーを外して(下写真)、
さて、スライサーで切って味見です。
送り方向の長さが長くて、このままスライサーにはかからないので、適当なところで輪切り(下写真)。
勿論まだ若いけれど、中々いい状態です。
今年の猛暑を無空調室温で経過させた割に、脂肪層はあまり酸化しておらず、真空包装をした効果が出ているようです。
片方を早速スライサーにセットしてスライス(下写真)。
で、味見。
・・・・・・
成程。
出来具合をうまく表現するのは難しいのですが、色々書いてみます。
吊るし開始(1/19日)から仕上げの白ワイン漬けまで10ヶ月と8日の内、今回は4ヶ月を真空包装していたので、その分乾燥不足があるかなと心配していましたが、それは無いようです。
例えば原木生ハムのケースでは、吊るし始めからパテ付けまでが乾燥が主目的の期間で、それ以降は熟成が主目的。
つまりパテ付けまでであらかたの乾燥は終わっている・・・というより、あらかたの乾燥が終わったのを確認して、以降の過乾燥を防ぐ目的でパテ付けをするというのが、正しい表現。
今回のハシッコのケースでもパテ付け迄にあらかたの乾燥は済んでいるので、その後に真空包装しても乾燥不足にはならなかったということになると思います。
次にクラテッロ類では特に重要な香りです。
クラテッロ&フィオッコ特有の蠱惑的な香りは間違いなく有るのですが、気持ち弱い・・かな~という感じがしました。
でもこれが、付けた白カビの所為か(今回は白カビサラミの白カビをわざわざ付けてしまいました。この記事)、又は真空包装した事に起因する何らかの所為か、あるいは単に気の所為かは判りませんww
又、若干塩が強めに感じましたが、これはまだ熟成期間が少ない所為で、熟成が進めば進む程、塩味はマイルドになって来る筈です。
脂は文句なしに美味いですが、肉質はクラテッロ&フィオッコに比べてやはり少し落ちるようです。
元々クラテッロ、フィオッコには使わないランプ部分で作ったものですから、多少落ちるのは止むを得ないかも知れません。
でもこの違いもほんの僅かの違いであって、原木生ハムに比べたら段違いに美味いのです。
つまり結論としては、イタリアには無いハシッコだけれど、3番目のクラテッロタイプとして、これは十分有りで、正直期待以上でした。
残りは乾燥しないように真空包装し、何時でもスライス出来る状態で、さらに常温熟成させます(下写真)。
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