筍の長期保存用瓶詰め詳細
私 duckbill は人後に落ちない筍好き。だからここ近年の筍偽装問題も当ブログでも記事にしているし、何とか安全で美味しい筍を年中食べるために、長期保存のテストなども行ってきた。
その方法で、そろそろ当家一年分の長期保存仕様の筍瓶詰めを作らなければ~とか思っていた矢先です。
なんと!!ブログで何時も何かとお世話になっています楽子さんが、お友達のフィノさんに仲介してくださって、フィノさんのお義父様が育てている京都産の筍を格安で沢山分けて頂きました♪
筍といえば京都産、えぐみがなく、やわらかく、味も日本一ならお値段のほうも通常なら日本一。とても普通では食べられません。
こちらに(下写真)おわすのがその京都産のやんごとなき筍様です。もう何が何だか気品に溢れ、その辺の有象無象の筍とはオーラが違うっしょ!!
<(_ _*)> 改めて、楽子さん、フィノさん、フィノさんのお義父様、ご好意に感謝申し上げます<(_ _*)>
さてこの筍を夕食の焼筍分を除いて、時間を置かずに即アク抜き処理を行いました。
何せ筍は時間が勝負。外側の2~3枚皮を剥いで、残りはつけたまま、根元に割りを入れ、米糠と唐辛子を入れて茹で上げ開始。
茹で上がったらそのまま自然に冷まして、アク抜き完了だけれども、我慢しきれず、アツアツを外側の皮から剥いでは皮の根元をしゃぶっていたら、段々止まらずそのまま中までツマミ食い。
Oo。。( ̄¬ ̄*)ハァ~ 何でこんなに美味いんだか。
アク抜きの必要なんか無いみたいだ。全然エグさがないし、恐るべし京都産筍。
いかんいかん!気づいたらもう丸ごと2本も食べてるし、このままだと瓶詰め保存用がなくなってしまう。
ツマミ食いはこの辺で何とか切り上げて冷まし、筍づくしで当面食べる分を確保して、残りを長期保存用の瓶詰めにする作業を開始です。
常温で1年は長期保存できる筍の瓶詰め方法詳細
京都産筍を瓶詰め保存するなんて勿体無いと思うかも知れませんが、ノンノン!市販の水煮レベルで考えられたらこまります。(* ̄ー ̄)"b" チッチッチッ
これまでの長期保存テストでは、掘りたてそのままの状態で保存出きるという結果が得られています。
瓶詰めされた食材を劣化させる要因は主に
- 菌による分解(腐敗菌による腐敗など)
- 酸化
- 紫外線による劣化
- 加熱殺菌
- 脱気
- 冷暗所保管
通常はまず、使用する保存瓶と蓋を煮沸殺菌すると説明している本やWEBは多いかも知れません。
勿論、煮沸殺菌しても何ら構いませんが、この工程は必須という訳ではありません。
何故なら殺菌は食材を詰めて密封後にしっかりと行うので、事前に瓶や蓋のみの殺菌をしなければならない必要性は基本的にはありません。
きれいに洗われていれば十分です。なお蓋の内側は極薄のパッキンになっているので、この部分を傷つけるようなもの、スポンジたわしの研磨材側などでは洗わないで下さい。
茹で上げた筍を瓶に詰めやすいブロックに切り、さっと洗って、使用する保存瓶に入れていきます。
筍を入れたら、熱湯を瓶の口一杯に注ぎます。通常は膨張分を考え口から5mm程度あけますが、今回はこぼれるものもこぼれる先もお湯なので、何の問題も有りません。
蓋のちょい下位までのお湯に入れ40分間煮沸します。蓋は閉めず、軽く乗せているだけです。(下写真)
この工程は殺菌ではなく脱気が目的です。
具体的には、蓋を締める前に瓶内部温度をほぼ100℃の状態にもっていくのが目的です。
次ぎの殺菌の工程では蓋を完全に閉め、瓶を熱湯に沈めてグラグラ煮沸します。もし蓋を低い温度で閉めていれば、この時に瓶内の空気が膨張し、瓶が破裂する危険性があります。
しかし蓋がほぼ100℃で閉められていれば、グラグラ煮沸時でも内部の空気の膨張はなく、危険はありません。
瓶内部温度がほぼ100℃になるにつれ、筍の内部に隠れていた空気も膨張して瓶外に出てきます。これは脱気です。でも脱気の意味はこれだけではありません。
瓶内の水も温度により口一杯まで膨張し、瓶内で空気が存在できる隙間は小さくなってきます。さらにこの小さい隙間の空気は100℃で膨張したごく薄い空気なので、殆ど瓶内に空気が無い状態となります。これが脱気です。
40分という煮沸時間に何か絶対的な意味がある訳ではありません。
瓶詰めするものは冷めている筍です。それに熱湯を入れたからといっても、瓶内温度はそう高くはありません。
40分という煮沸時間は、40分くらい加温すれば、この瓶内温度をほぼ100℃まで上げることができるだろうということから来ています。
直接火にかけるわけではなく、100℃の沸騰湯で間接加温するのですから、瓶内温度を同じ温度にするには、思っているより時間がかかりますし、筍という素材も比熱が大きそうです(比熱の大きい物質は温度を上げるのも下げるのもより時間がかかります)。
40分煮沸したら急いでお湯から出し、急いで蓋を完全に閉めて今度は逆さにお湯に戻します(下写真)。
お湯から取り出す前に、軽く乗せていた蓋をひねって、仮閉めしてから取り出す方が良いと思います。
取り出したら蓋はストッパー(後述)の位置まできっちり閉めてください。
完全にかぶる位お湯を足して、40分ぐらぐら煮沸します。
ここでの目的は今度は完全殺菌です。瓶内部も100℃になっており、通常では完全な滅菌状態となります。
お湯から出し、逆さま状態で自然に冷まします。
水に漬けたり、水をかけたり等の強制冷却は決してしないで下さい。瓶が割れて大変危険です。
下写真、左の空瓶の蓋と比較して、右の出来上がった筍瓶詰めの蓋が凹んでいる(凹面状態)のが判るでしょうか。
瓶内が冷めるにしたがって内容物は収縮して、空き容積を増す上、中の極々少量の空気は冷えて収縮しますので、中は真空に近い負圧状態になり、外側の大気圧でこのように凹みます。
もし蓋の密閉が不完全であれば、空気は外から負圧の瓶内に入り込み、凹みはすぐ平らに戻ってしまいます。
従ってこの蓋が凹んだままということは空気の出入りがなく、完全に密封されている証です。
腐敗は腐敗菌が増殖して腐敗させます。菌がなければ腐敗することはありません。
内部が一度完全に殺菌(菌数0に)され、その後空気の出入りが完全に遮断されているわけですから、何時までたっても瓶内の菌数は0のままであり、従って常温でも腐敗することはありません。
さてこのような煮沸保存に使用する保存瓶、一見似たように見えるビンでも煮沸保存に使用できないものもあるので、要注意です。 例えばこの100円均一に置いてある保存瓶(下写真)、蓋は煮沸保存用の蓋ではあるけれど、瓶の方には蓋をキッチリ閉めるためのストッパーがありません。 これは強く締めていくとまた緩んでしまうので、煮沸保存用の瓶としては不適格です。
勿論、煮沸保存用として販売しているわけでは無いので欠陥品ということではありません。
一方下写真は私が使っている保存瓶(ここで購入しています)。この様にストッパーがあると煮沸保存用に使用できます。
煮沸保存で蓋をしっかり閉める際は、このストッパー位置まで必ずキッチリ閉めることが重要です。
又、瓶は繰返し使用可能ですが、蓋の方はパッキン部分が傷むので、 毎回新しいものを使用するのが理想です。
私は数回は繰返し使用しますが、密閉具合が悪いと、製作中に熱々の中身が漏れたりする危険がありますので、なれていない方にはお奨めできません。
遊びのオリジナルシールを貼って、今回は300cc瓶で9瓶完成しました(写真はクリックで拡大して見ることが出来ます)。
瓶を空けたら早めに使い切らなければならないので、このサイズは多すぎず少なすぎず、丁度良いサイズだと思います(少なくとも当家には)。
この瓶詰め方法は、冷暗所に保管することで常温で1年は大丈夫で、単に長期保存できるということだけでなく、アク抜き直後の筍の風味、歯ざわりをそのまま保存することが出来ると思います(これまでのテスト結果ではそうでした)。
つまり、私 duckbill は、今回のこの美味しい京都産筍の掘りたてのままの状態を、一年間に渡って時々は食べることができるということです(きっと)。 m(;∇;)m う、うれしすぎるっ!
なお、脱気がしっかりされた瓶詰めは、瓶内部が殆ど真空となっています。
このため蓋を手で開けようとしても通常の力ではなかなか開けることが出来ません。
100円均一等で販売されているような、瓶を開ける道具を使用して開けてください。
私が使用しているものは下写真のようなもので、100円均一で購入(でも100円ではありませんでした)しました。
この道具を使用しても、1人で開けるのは中々困難です。私のところでは、瓶の下を誰かに押さえてもらって、2人がかりで開けます。
それも面倒なことですが、しっかり脱気した瓶詰めとはこのようなものです。
なお、瓶ごと湯せんして温めてあげれば、比較的楽に開けることが出来ます。
筍保存に関する全記事はカテゴリ[筍保存]で見ることが出来ます。
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自分で裏付けを取らなければ、「常温で1年は持つ」と言ってもそれは多分であり、他人も言っているからという受け売りに過ぎません。
他人の方法が1年保存できたからと言って、自分の瓶詰め方法が1年保存できるとは限りません。
この保存方法の筍瓶詰めで、実際にこれまで行った評価テストは以下のページです
筍水煮の瓶詰め長期保存テスト ・・・1ケ月間保存
筍水煮の瓶詰め長期保存テストその2 ・・・8ケ月間保存
筍水煮の瓶詰め長期保存テストその3 ・・・1年間保存
筍水煮の瓶詰め長期保存テストその4 ・・・2年間保存
筍水煮の瓶詰め長期保存テストその5 ・・・10年間保存
追 記 2:
この瓶内の気泡に見えるものは、必ず生じるものであって、そして気泡ではありません。
ほぼ100℃で、満杯状態で蓋を閉められた瓶でも、瓶が冷えるにしたがって、内容物が収縮し、その分必ず容積が空いてきます。
勿論、蓋は閉まったままですから、空気は入りません。
つまりこの気泡に見える部分は気泡ではなく、内容物(水等の)も空気も無いほぼ真空状態の空間で、必ず生じるものです。