鱧(ハモ)を捌く
ハモは硬い小骨が非常に多く、そのためおろすだけでなく、「骨切り」と呼ばれる熟練な技法が必要です。
あらかたの知識は持っていたのですが、実際にはこれまで鱧は一度も捌いたことがありません。なので当然、「骨切り」も初めての挑戦でした。
1匹目鱧との格闘
まず購入当日(8/29)の夕食
大きい方の鱧を目打ちで目をまな板に止めて、さて捌こうかと思ったら、当たり前のことながら、まな板の長さの2倍くらいあるのだから、目打ちで止めたら、かえって下半分はどうにもならない。・・・おぉ!いきなりそう来たか!(爆)
もう目打ちはやらないで普通に捌きました。
- 肛門から刃を外側に向けて顎下まで一気に裂く
- 次に肛門から尾側へ同じように裂いていく
- 顎下で鰓の付け根を切り取って、その鰓ごと内臓をバリバリっと一気に身から引き剥がす。
こうすると、中骨に沿った血合い(血管)も一緒に綺麗に剥がれる - このまま背皮を残し腹開きにして、中骨を尾、頭ごと取り除く
続いて、
- 開いた両サイド端(上下腹側)に残った骨を削ぎ切りし、さらに腹側ひれ部分を切り取って行く
- 尾側で背びれ部分を少し身から切り離し、包丁で背びれを押さえ、身を布巾でつまみ、そのまま引き剥がすように背びれを取っていく
真ん中から長さを2分割して、いよいよ「骨切り」です。 押し切り(押し付けるのではなく包丁を向こう側にスライドさせる)で切ると、ジョリッと小骨を断ち切る音がする。そうそう、この音だ、うん!いい感じ。
リズミカルに一定スピードでジョリッ、ジョリッ、ジョリッ・・・と切り進めて、意外に楽に「骨切り」は終了しました。(写真はクリックで拡大してみることが出来ます)
1切り1秒程度で切っていけているのでペースは良いのですが、仕上がりを見ると、少しぐずぐずの所もあるし、何と言っても初めてなので、切り方も少し甘かったかも知れません。
1匹目鱧を調理する
[ 鱧出汁を作る ]
- 頭と中骨は一旦焼きます
- 後述の鱧の土瓶蒸しで鱧を湯引きする時に使用したお湯、これは湯引きの時の鱧の出汁が出ているので、これに焼いた頭と中骨を入れ、鱧出汁をとる。
今回は鱧のサイズが大きいのでお造りも作れます。湯引きは食べる機会も多いので、焼き霜作りの方ににしました。
[ 鱧の焼き霜作りの作り方 ]
- 焼き霜にする分を取り、まず皮目からバーナー(下写真)で焼き目をつける。
皮が縮むので、ここで一気に花が咲く(・・・うーん、花の咲き方が不足ぎみかなぁ!(・・*)ゞ) - 次に身の側をバーナーで炙ってちょと焦げ目をつける。
- 氷水に付けてしめ、すぐザルに取り水を切る。
- 1口で食べる程度の幅で切り離し、器に盛り、山葵を添える
ケンを作ろうとしたら大根は無いし、山葵を盛ろうとしたらチューブの山葵しかないし、何だかかなり手抜きなお造りになってしまいました(下写真奥)。(;^_^A トホホ!
飯物は、前回は鱧の押し寿司にしたので、今回は鱧飯を作って見ました(下写真手前左)。
[ 鱧飯の作り方 ]
- 鱧は丸串を打ち、付けだれ(醤油、みりん、日本酒、刻み木の芽)をつけながら焼き、焼きあがった後、串を外し、背中ラインで2分割し、さらに1~1.5cm幅で切っておく
- 米をとぎ、ちょっとの薄口醤油、日本酒を加えた鱧出汁で炊く
- 梅肉を包丁で叩いて、炊き上がった飯に混ぜ込む
- 焼いて切っていた鱧を混ぜ込む
- 飯碗によそい、白ゴマ、粉山椒をふり木の芽を飾る
そして吸い物、今回は鱧の土瓶蒸しにしました(下写真手前右)。
鱧の土瓶蒸しといえば松茸ですが、中国産は絶対にいやだし、国産は高価でなかなか手がでません。(;^_^A
今回は松茸が主役ではなく、鱧ですから、椎茸とシメジで代替しました。
[ 鱧の土瓶蒸しの作り方 ]
- 鱧は一旦湯引きにして、花を咲かせておく。
湯引きででる旨みも捨てないように、湯引きに使ったお湯は鱧出汁をとるベースとして使う。
湯引きは、すくい網に3cm幅に切った鱧を皮目を下にして乗せ、沸騰している湯に、最初は皮だけ3~4秒、皮が縮んで花がさくので、全体を沈め10~13秒で取りだし、すぐ冷水で締め、締めたらすぐザルにとり、水を切っておく。 - 土瓶に湯引きにした鱧、椎茸、シメジ、銀杏をいれ出汁を張り、土瓶ごと蒸す。この出汁は、前もって取っている鱧出汁に若干の白だし、薄口醤油、日本酒、塩を加えたもの(塩味は薄味に仕上げます)
- 蒸し上がったら、三つ葉をくわえ、半切りにしたスダチを添える
あぁ!土瓶蒸しってなんでこんなに美味しいんでしょうか。昔から好きですが、毎日土瓶蒸しでもいいなぁ!
そりゃあ松茸の香りは無いですが、椎茸、シメジでも十分です。・・・美味いわぁ♪
鱧飯も美味しいです。梅肉が殊のほか良い仕事をしています。
そして反省
さて、鱧料理3品、どれも美味しかったのですが、鱧の捌き方、そして骨切りは、初めてやったものですから、切り残しの骨がありました。
味は申し分ないのですが、食べながら骨を出すようでは、鱧料理としては失格でしょう。焼き霜つくりや土瓶蒸しの湯引きにおいても花の咲き方も若干ながら不満が残るものでした。
どうやら完全にに皮1枚のみで繋がるように、しっかり切っていかないと駄目なようです。
でも修正は左程難しいものでも無いようです。
皮まできっちり行った段階で包丁を止めれば、皮は思ったよりタフなようで、切れずにしっかり残ります。
その大体の感じは掴めまたので、もう一匹の鱧を使い翌日8/30日にリベンジを行いました。
2匹目鱧でリベンジ
[ 翌日の夕食 ]
さすがに2匹目です。捌くのもずっと手早くなって、骨切りのリズムもさらに良く、一気にいきました。
こういうものは、一定リズムで一気にいかないと、かえって骨切り幅も一定しません。
下写真がその2匹目の骨切り後です。
切った箇所を後で何箇所かチェックしてみましたが、何れの個所も身は完全に切れていて、皮1枚だけで繋がっています。どうやらうまく出来たようです。(写真はクリックで拡大してみることが出来ます)
2匹目鱧を調理する
前の日の鱧料理、長男は外出だったので食べていません。
長男に土瓶蒸しを食べさせたいので、もう一度土瓶蒸しに仕立て(2回目なので写真は省略)、残りを今度は鱧の天麩羅に仕立てました(下写真)。
出来上がった鱧の天麩羅は2種類の付け塩で頂きました。
一つは以前の記事で紹介した青山椒のフルールドセル。
そしてこちらは、鱧の天麩羅への使用を意図して、以前にブレンドしていた梅のフルールドセルです。
梅干の果肉を自作ディハイドレーターで乾燥して刻み、ゲランドのエクストラ・ファイン・ソルト(フルールドセル)に合わせて、その後10日程馴染ませたものです。
ブレンド後、少し日にちを置かないと塩に香りが移りません。
うん!天麩羅は鱧の香りがしっかり残っていて、とても美味しい。どちらの塩もとても合います。
やっぱり天麩羅は天ツユより付け塩で食べる方が、ずっと美味しいと思います。
判定
さて、鱧の骨切り、思ったとおり2匹目は問題なしでした。食べていて小骨は全く気になりません。
土瓶蒸しに使うため一旦湯引きした時の花の咲き方も十分でした。 v( ̄ー ̄)v ヤッタネ!!
皮まできっちり切ることに重点をおいたので、1匹目と比べ、切幅が気持ち太くなったかも知れません。
骨切りの細かさは特段細かく切ろうと頑張った訳ではないので、もう少し細かく切る事は出切るかも知れませんが、包丁も専用の鱧骨切り包丁ではなく、普通の柳刃です。
食べて骨が気にならない以上、家庭で食べるにはとりあえず十分ではないでしょうか。
番外
鱧ではありませんが、鱧を購入時に市場で一緒に購入した岩牡蛎です。レモンのみで頂きました。勿論、味は絶品です。
前回の鱧の押し寿司の記事をブログでお友達のレイコさんが、ご自身の鱧料理の記事で紹介してくださいました。
とても良く書いてくださいまして、何だか、恥ずかしいやら、嬉しいやら、ありがとうございました。
レイコさん鱧料理のほうこそ、ハモの棒ずしとハモ真丈と大変素晴らしいお料理です。
棒ずしの色も素晴らしいし、ハモ真丈なんて、一体なんて物を作ってくれるのでしょうか、鱧好きには泣けますよ!
・・・やっぱりこの季節は鱧。名残の鱧まで楽しみたいものです。
下のランキングに参加しています。記事がまあまあ良かったから応援しようという方、それ程でもないが今日は気分がいいから応援しようという方、俺ゃー心が広いから応援ばしちゃるという方、 是非クリックして応援お願い致します。m(_"_)m |