カヴァテッリ(Cavatelli)を作る
何が気になっていたかって、勿論粉仕事が好きで、特にうどんのもちもちっとしたところや、ツルツルトロンとしたところに目の無い私にとって、このパスタがその手の特質を持っていることもあるけれど、それは置いても、大変バリエーションが多くて何だか正体不明なところが気になっていました。
さて、下写真の全てはカヴァテッリであって、そしてそのうちの幾つかのタイプはチカテッリ(Cicatelli)(又はチカティエッリ(Cicatielli))と呼ばれるパスタでもあります。
最初は③のタイプをカヴァテッリ、①のタイプをチカテッリだと思っていました。
ところがWEBを見ていると③のタイプのチカテッリも出てきて、これってカヴァテッリと同じだし、どちらの名前が正しいのだろうかと、自分の作っているのがカヴァテッリなのか、チカテッリなのか判らないのもはなはだ具合が悪いと思って調べ始めたのが最初でした。
イタリア人にとっては、多分どっちがどっちでも美味しければいいのだろうけれど(笑)、そこは日本人の悲しい性(さが)、曖昧なままだとなんとも気持ちが悪い。多分ドイツ人ならもっとそうに違いない。(爆)
で、よくよく調べて見ると、結局のところはカヴァテッリとチカテッリは同じもの。
カンパーニャ地方ではチカテッリ、プーリア地方、バジリカータ地方で場所によりカヴァテッリと言ったりチカテッリと言ったり、又は形状のバリエーションの中でカヴァテッリとチカテッリを使い分けたりしているようです。
このバリエーションの中での使い分けにおいても、長いのをカヴァテッリ、ちょっと短くてコロンとイモムシっぽい形状をチカテッリと言っているかと思えば、他の地域ではその逆だったりして、統一したものでもありません。・・・こんなところは、さすがイタリア人だ!(笑)
色々調べていくと、地方によってはカヴァテッリに付けられた又別の名前らしい ciufele、cecatelle、cuzzetelle等も出てくるのですが、何せイタリア語の文章、正しく解釈しているかどうか、何とも心もとない。(笑)
このカヴァテッリ、プーリア州のパスタとして紹介しているページも多い一方、同じくらいシチリアのパスタとして紹介しているページも多いのです。
このカヴァテッリはシチリアの方言をイタリア語化したものらしく、シチリアの一部では、その方言でCavateddi(カヴァテッディ)またはCavatieddi(カヴァティエッディ)と呼ばれています。 そしてこれは、その作り方(掘るように作る)の掘る(名詞:Cavata、動詞:Cavare)からついた名前のようです。
そうして見ると、このカヴァテッリ、もともとはシチリアのパスタなのでしょうか。
なおカヴァティエッディの名前は、プーリア州の一部地域でも使われているようです。
・・・と言うことで、カヴァテッリは地域によってチカテッリであったり、カヴァテッディであったり、カヴァティエッディであったりと、ますます正体不明な奴なのです。(笑)
次にこのカヴァテッリ、作る時に指で押さえたまま、手前に引いて作りますが、その時に使う本数でも名前をつけたりするようです。
上写真の①はウン・ディート(un dito:指1本)、②はドゥエ・ディータ(due dita:指2本)、③はトレ・ディータ(tre dita:指3本)。
クワトロ・ディータ(quattro dita:指4本)やオット・ディータ(otto dita:指8本)などの記述も見かけましたが、実際のそのタイプのカヴァテッリはあるのでしょうか?自分で作るのは簡単ですが、未だ他で見たことは有りません。
なおシチリアのカヴァテッリは殆ど①のウン・ディートタイプなのでしょうか?WEB上で見かけたものはこのタイプでした。
そして、さらに上写真の④、⑤、⑥は各々①、②、③の開いたタイプですが、これをカヴァテッリ・アペルティ(Cavatelli aperti:開いたカヴァテッリ)とも言うそうですが、その場合閉じた①、②、③の方は対比してカヴァテッリ・キュージ(Cavatelli chiusi:閉じたカヴァテッリ)とも表現するそうです。
この開いたカヴァテッリにはストラッシナーティ(Strascinati) という別のパスタ名もあって、この名前でWEBでサーチすると、又たくさん出てきます。開き方も中途半端に開いたものから、もう殆ど平らなものまで、まさにマンマの数だけパスタがある国ならではでしょう。
ウン・ディートタイプの完全に開いた奴なんか、外見はもうコイン状で、サイズこそ違いますが、クロゼッティ(Croxetti)(又はコルツェッティ(Corzetti))のようです。
なおカヴァテッリの作り方には指を使わない方法もあって、その場合、下写真のようにナイフで押して、押し付けたまま下に引くことで、クルッと丸まって出来上がります。
さてここまでバリエーションを分類すると、何だか落ち着くし(日本人だなぁ~、笑)、何と言っても、自分の作りたいものもハッキリ記述できるのがいい!(^^)v
私が今回作りたいのは、同じカヴァテッリでも指三本のトレ・ディータ、そしてちょっとツルツルトロンの食感を味わえるアペルティな(開いた)奴です。
もともと南イタリアのパスタは100%デュラム・セモリナ粉で作る傾向があるようです。
この傾向はシチリア州、バジリカータ州、プーリア州など、南イタリアが主要な、そして上質なデュラム小麦の産地であることに起因するのでしょう。
だから、このカヴァテッリもどうやら、100%デュラム・セモリナ粉で作るのが普通のようです。
でも自由に作れるのがパスタの魅力であるし、このパスタの魅力であるモチモチ感と、今回は特にツルツルトロンを強調したいので、100%強力粉で作りました。
この日(11/14(土))の昼食は3人だったので分量は以下の通り。
出来上がり重量186g(3人分) | |
強力粉(国産小麦粉「春よ恋」) | 120g |
水 | 55g |
オリーブオイル | 10cc |
塩 | 1g |
よく捏ねて2時間ほど寝かした生地を2mm厚位に、麺棒で延ばし、3~4cm×1cmくらいのサイズに切リ分ける。
人差し指、中指、薬指の3本を前後揃えて、生地にあて、ちょっと向うに押しつぶしてから、
指を下に押し付けたまま手前にズルッと引くと、生地はクルッと丸まって来て出来上がり。
キュージ(閉じた)タイプが良いならここで少し丸めてあげればいいし、もっとアペルティ(開いた)タイプが良いなら、好きなだけ開いてやればいい。
一個一秒くらいで簡単にどんどん作れるので、3人分なんてあっという間。
このカヴァテッリ、このように指で押して引いて作るものだから、厚みが部分部分で均一でないところがこのパスタの魅力です。
厚いところではコシとモチモチ感、薄い部分、特にアペルティ(開いた)タイプなら、指で引き伸ばされた薄い端はツルツルトロン感と、両方の食感を楽しめます。
特にこのツルツルトロン感は、やはり少し汁だくな物に仕立てるとよく味わえますので、この日はこの作ったカヴァテッリをミネストローネ仕立てにしました。
[ カヴァテッリのミネストローネ仕立て ]
カヴァテッリのミネストローネ仕立て、イタリア語でなら「 Minestrone di cavatelli 」でいいのかなぁ?
又は、今回は豆を入れたミネストローネにしたので「 Cavatelli alla minestrone con legumi 」とか?
・・・イタリア語はやった事がないので、この辺は何だかとても怪しげだ。(^^)
さて、ミネストローネは,野菜が具沢山で少し煮崩れさせた濃度の濃いスープ。
よくトマトを入れるけれど必須という訳ではなく、だからこの日もトマトを使わないミネストローネです。
少し煮崩れして美味しくなるように、ジャガイモを入れ、濃度が出るようにミックス豆も使いました。
玉葱、人参、ジャガイモ、セロリ、椎茸は1cm角くらいに刻んでおく。
鍋にオリーブオイルを入れ、刻みニンニクを炒め、香りがでたら、自家製ベーコン、刻んでおいた玉葱を加え、玉葱が透き通るまで炒める。
刻んでおいた人参、セロリ、椎茸を加えさらに炒め、火が通ったら、ジャガイモ、缶詰のミックス豆を加え、ひたひたにブロードをと言いたいけれど、そんなものは無いから、水とブイヨン(ウェーパーで可)で代用して、野菜が少し煮崩れするくらいまで煮込み、塩胡椒で味を調える。
イタリア食材ではありませんが、今回は隠し味にハモンセラーの皮も刻んで入れてみました。
これを入れるとスープにとてもコクが出るのですが、ハモンセラーノを原木で消費している当家ならではの特選アイテムです。(^^)
沸騰した湯に1%の茹で塩を入れ、パスタを茹でる。パスタが浮き上がったら(約1分)、湯切りをして、ミネストロ-ネの鍋に加え、2分程、煮込んでスープを吸わせる。
皿に盛り、香り高いEX.V.オリーブオイルを廻しかけ、下ろしたパルミジャーノ・レッジャーノを振りかけ、刻んだイタリアンパセリを散らして出来上がり(下写真)。
せっかくですからカヴァテッリに合わせ、プーリア産かシチリア産のEX.V.オリーブオイルを使うのはいいかも知れません。
で、うちのはどの州の産かと思って見てみたら、イタリア産ですらありませんでした!(自爆)
まさに生ショートパスタならではの味です。意図した通り、モチモチ、ツルツルトロンで文句なしに美味しいです。
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