鱧(ハモ)の季節2010
私はこの料亭食材がことの外好きなのです。
関東ではなかなか一般には出回らないこの鱧ですが、さすが鱧文化をもっている関西では普通に出回るようなのです。
今年も又、ブログでお友達の楽子さんから、「鱧どうですか~!」の嬉しいメールを頂きました。
ご主人の仕事の都合で奈良へ引越しなさった楽子さんからは、去年も鱧を頂戴したのでした(その1、その2)。
鱧です!大好きな鱧です!思えば去年以来です(当たり前)。
待ちわびて鱧が首を長~くしているのではないでしょうか(最初から長いし)
「いります、いります!ええ、いりますとも!是非にも送って下さい~!」って速攻で返信メールを打たせて頂き、嬉しい事に今年も鱧にありつけることになりました。♪
・・・と言う事で、早速届いた楽子さんからの頂き物です(下写真)。・・・7/25日
写真手前から吉野杉の割り箸。奈良の大仏様の焼印が入っていて、これが何とも可愛いんです(^^)
その上が骨切りされた徳島産鱧。
ちゃんと頭と骨がそのまま入っているのが、食べ方を知っている関西ならではです。
稀に関東にも骨切り鱧が出ることもあるのですが、身だけで、頭も骨も付いていません。
これでは鱧出汁も取れない訳で、ここがいかにも関東の鱧文化の浅いところです。
そしてその上が鯖へしこ。
私がヘシコを食べた事がなく、興味深々なのを知って入れて下さいました。
一番上左からずいき、自家製梅味噌、そしてお手紙です。
梅味噌!・・・鱧と梅味噌・・・何だか一品思いついてしまいました♪
さて料理好きではあるのですが、いつもは結構テンションが低く、空腹の時以外はなかなか作る気力が充満してきません(笑)。
でも鱧となると、何故か気力が満タン、気合も十分です。( ̄^ ̄) ヨッシャー!!!!!!!!
・・・と言う事で、頂いた鱧の料理です。
[鱧焼霜薄造り]
去年作ったこの焼霜薄造りがとても美味しかったものだから、今年も少しだけ作ってみました。
骨切りされた鱧をバーナーで皮目を焼きすぐ氷水に漬けて冷やし(焼霜にする)、キッチンペーパーで水を切った後、骨切りされた切れ目に沿って切り離し、盛り付けます。
焼霜になる時で身がよれていますから、この切れ目沿って切り離すのが、思っているよりは大変です。
なので作る量はちょっとだけ。(^^;
出来上がりの綺麗さは、骨切りが上手になされているかどうかにかかっています。
去年の出来に比べると、今回は少し身がボロボロで、去年の職人さんの方が骨切り上手だったようです。
今回は少し見かけが綺麗ではありませんが、紅葉おろし、小ネギ、ポン酢で頂くこの焼霜薄造り、味は相変わらず美味しいです。
落とし(湯引き)や焼霜は、骨切りをされた沢山の切れ目の根元にどうしても水分を含んでしまい、水っぽさが否めません。
この焼霜薄造りならそんなこともなく、鱧の身の旨みが十分に味わえます。
なお骨切り前の鱧なら、まず焼霜にしてしまって、その後骨切りすれば、切れ目に沿って切り離すのが、簡単に出来る筈です。
さて鱧料理と言えば、一番ポピュラーな鱧の落としですが、前述したように、開いた花の根元にどうしたって水が残り、水っぽく感じるのと、定番の梅肉ソースはそのままその水っぽくなった、あっさり味の鱧につけるには、ちょっときつ過ぎるような気がして、私は鱧の落としがあまり好きではありません。
そこで、自分なりの一品を作ってみました。
[温鱧の梅肉出汁あん]
骨切りされている鱧を一口サイズに切って、片栗粉をまぶし、熱湯にいれ湯引きします。
冷水には取らず、湯引きしたてのあつあつに、梅肉出汁あんをかけ、木の芽を乗せて出来上がりです。
薄くまぶした片栗粉層が鱧の旨みを含んで閉じ込め、水っぽさがなくなります。
梅肉出汁あんは、去年[蒸し鱧の梅肉あん]で使用してとても美味しかったのです。
梅肉を濃厚な鱧出汁で溶くことで、鱧の香りと旨みを濃厚に残しながら、梅肉はきつくなく穏やかに爽やかさを加えます。
うん!これはいいです。とても美味しい上、食べた後も、口の中に鱧の香りと旨みがずっと残りますもの♪
鍋に、ダシ用昆布と焼いた鱧の頭と骨を入れ、火にかける。沸騰前にダシ昆布は引き上げ、暫く煮詰めて鱧の旨みを十分に引き出す。
ダシ昆布を使わない場合は、焼いた鱧の頭と骨だけで出汁を取り、最後に若干の白だしを加える。
この出汁に薄口醤油、塩、日本酒を加えたもの(塩味は薄味に仕上げます)を吸い物用の吸い地や、梅肉出汁あんの出汁として使用します。
この吸い地に梅肉を溶き、葛、又は片栗粉で少しとろみをつけます。
次に、頂いた梅味噌と鱧のコラボで一品
[鱧の梅味噌漬焼 メロン浅漬、干筍オイル漬]
頂いた梅味噌を味醂で少しゆるく延ばし、鱧を1日漬け込んで焼きました。
なのでこれは、実は他の料理とは1日ずれた、翌日の一品です。
梅の香と木の芽と鱧、この黄金の組み合わせに焼味噌の味が加わって、なかなか美味しいです。
以前、焼鱧で押寿司を作っていますが、この梅味噌漬焼で押寿司にしてもいけそうです。
あしらいはメロン未熟果の浅漬けと、干筍オイル漬け。
干筍オイル漬けは、フィノさんからお分け頂いた京筍を、茹でてアク抜き後、塩を振って半干しし、オリーブオイル漬けにしていたものです。
筍に限らず、干し野菜は旨みが凝縮していて、とても美味しいです。
[鱧の吸い物]
吸い地(前述)があるので、吸い物も作りました。
湯引きして花を開かせた鱧、火を通した椎茸を椀に入れ、吸い地を張って、子ネギを散らして完成です。
・・・と、鱧はここまで、
さて興味深々のヘシコです。
主に若狭地方の伝統的な保存食材で、魚を糠につけて長期間熟成させたもので、 随分以前から名前を知っていた割に、一度も食べるチャンスが無かった食材です。
頂いたものは鯖一匹丸ごとの鯖へしこで、背開きにして内臓だけを取って漬けられているようです。
まず、封を切って匂いをかいで見ました。そして思わずニンマリ♪・・・ふふふ!得意な匂いだ~!(^^)v
クサヤのような臭い匂いではありません。
カラスミなどいわゆる塩漬け熟成させた魚介特有の香りで、この系統の匂いなら、食べられるか否かも、このまま生でもいけるかも、私は匂いだけでバッチリ判定できますぞ!(ほんとかい?)
でその判定は、「このヘシコ、このまま生で糠まで、全然大丈夫!!」です。
少し糠を除けて、半分から切って、断面を見てみました(下写真)。
どうです、この断面?水分活性も低そうで、これなら長期間保存がきくのもうなづけます。
スライスしたのをこのまま生で頂いてみました。
当然塩辛いけれど、熟成旨みが強く、大変美味しい味です。
[ヘシコのお茶漬け]
このまま生でスライスしたものと、ちょっとだけあぶってスライスしたものと、それぞれお茶漬けで頂いてみました。
熱々のご飯にヘシコのスライスを乗せて、白胡麻をふり、木の芽を乗せ、熱々の煎茶をかけました。
下写真は生スライスを乗せた方です。
※鯖にはとても丈夫な薄皮があって、生でスライスする場合は、その前にその薄皮を剥ぎます。
はっきり言って、どちらでも旨過ぎるんですけど~♪(^^)v
でも敢えて違いを言えば、そのままツマミでチビチビ頂くのは、生スライスの方が、塩辛く感じない分美味しいです。
そしてお茶漬けでは、炙ってからスライスの方が、脂が活性化してくる分、美味しいと思いました。
鱧もヘシコも堪能しました。楽子さ~~ん!抜群に美味しかったですよ~~♪ ずいきはまだ調理してないけれど、本当にいつもご馳走様です。 m(_ _)m感謝感激雨霰!!
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