自家製アンチョビの完成
さすが内蔵も入れたままの常温発酵、発酵の速度がとても速いです。
半年以上はかけるつもりでしたが、4ケ月ちょっと経過で、もう少し遅れるとペーストになるところでした。
実は自家製アンチョビ作りは4年ぶりです。
以前はシコイワシの頭、骨、内臓を取り除いたフィレだけを塩漬けにして、冷蔵庫で熟成をさせ、その後オリーブオイル漬けにするやり方でした。
でもこのやり方でできるアンチョビの質にとても不満を持っていたのです。
勿論普通に美味しく食べられるのですが、イタリアやスペインからの輸入アンチョビに比較すると、作ったものはアンチョビというより、ただの塩漬け鰯なのです。身もしっかりして、味や香りだって塩漬け鰯そのもの。
一方輸入アンチョビの方は、身ももっとネットリとして、潰せばそのまますぐペーストになるし、香りだって塩漬け鰯からもう一段昇華した別の良い香りがあるのです。
より熟成させるため、1年ほど塩漬け期間をかけてみたものの、それ程代わり映えがしなかったのです。
それではと、オイル漬けの期間も長くかけてみました。
それは何の効果もなかった上、オイル漬けの期間が6ケ月を過ぎたあたりから、何瓶かにコロニーが発生するものがでました。
これは塩漬けからオイル漬けにする際、塩抜きがてら水洗いをするためで、かなり良く水を切っても6ケ月以上経過させたあたりから、何瓶かでコロニーが発生してきました。
3年間製作を取りやめていた理由は、このような状況であったためです。
休止期間中に色々と調べ、考えたのです。
アンチョビの発酵に関しては、内臓に含まれる酵素が重要な役割を果たすようです。
それに発酵をより進めたいなら、冷蔵庫で保管するより、室温で保管した方がずっと早いでしょう。
なので、内臓も含め、室温で十分に発酵させれば、塩漬け鰯ではなく、ネットリとした、そしてあの香りも出せるかも知れません。
パスタに使用するなら、塩抜きの必要も無いのかも知れません。水で洗う必要がなければコロニーの問題も片付くかもしれません。
・・・ということで、4年ぶりの今年のアンチョビ仕込みは内臓を除かないで仕込んでいます。
第1回目の仕込みは頭を取って内臓はそのままのやり方ですが、冷蔵庫で塩漬け中なので、まだまだでしょう。
まず、様子を見てみたのは3/11日に仕込んだ第2回目の仕込みです。
第2回目の仕込みは第1回目と同じ、頭は取って内臓はそのままのやり方ですが、室内で塩漬け中(常温発酵)のものです。
開けてみたら、アンチョビはしっかり発酵が進んで、手で潰すと簡単にペーストになる感じです。
そのまま食べてみたら、輸入アンチョビのようなあの香りがします。
勿論塩辛いですが、良く熟成しているため思ったほど塩辛~~いって訳ではありません。塩抜き無しでも大丈夫そうです。そして旨みは相当強いです。
どうやら望んでいたアンチョビが出来上がっているようですので、もうオリーブオイル漬けにすることにしました。
骨に沿ってフォークでしごいてフィレを外します。
綺麗な形のフィレとして外すには発酵が進み過ぎて、多少形が崩れ気味ですが、瓶に入れEx.V.オリーブオイルで満たし、2瓶完成しました(下写真)。・・・7/31日
そして魚醤をコーヒーフィルターで漉して、琥珀色の澄んだ綺麗な魚醤が3瓶完成(下写真)。
良く発酵熟成していて元々それ程魚臭くない魚醤ですが、不純物を漉し取られて、もう殆ど魚臭くありません。
そして旨みはちょっとビックリするほど物凄い!!
思ったより発酵熟成が進んでいたので、3回目仕込み(3/18日仕込み)と4回目仕込み(3/20日に仕込み)ももう、オリーブオイル漬けにすることにしました。
第3回目、第4回目とも、こちらは頭も内臓も取らず丸ごと塩漬けし、常温発酵中のものです。
むしろこちらの方が第2回目より発酵が進んでおり、フィレも大分崩れてしまいました。
もっと早く、オイル漬けにしても大丈夫だったようです。
Ex.V.オリーブオイル漬けのアンチョビが4瓶、そして魚醤が3瓶取れました(下写真)。
オイル漬けしたアンチョビはすぐ使い始めて大丈夫、もう完成です。
内臓を一緒に漬けることと、常温発酵させることは、大成功でした。
綺麗なフィレでない分、外観はともかくも、質感と味、香りは輸入アンチョビと同じようなものが出来ました。
輸入アンチョビには皮もありません。
今回十分発酵熟成させたアンチョビの皮は、ひとりでに随分剥がれており、残った分もフォークの背でちょっと擦するだけで奇麗に取れます。
どうやって皮を取るのかも疑問だったのですが、この問題も解決しました。
外観に関しては、作り方にもう一工夫が必要なようです。
十分発酵熟成した頭、内臓ごとのアンチョビからフィレを分離するのは、発酵が進んでいればいるほど、ぐずぐずになって大変でした。
やはり塩漬け時にフィレにしてしまって、取り除いた頭、骨、内臓は茶漉し袋のようなものに入れて、一緒に塩漬けし、常温発酵させるやり方が、良いかも知れません。
来年はそのような方法で考えています。
望んでいたようなアンチョビが出来たのも嬉しいけれど、今回は想定していたよりずっと質の良い魚醤が、タップリできたのが大きな収穫でした。
一般の魚醤、例えばナンプラーやニョクナムなどは、かなり魚臭さがあります。
日本のしょっつるなどはそれに比べればもっと上品な味ですが、それでもやっぱり魚臭さはあります。
でも今回出来上がったこの綺麗な琥珀色の魚醤は、もっともっとずっと上のグレードです。
ガルム(garum)としてパスタに大活躍しそう♪
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