今期第1回目のカラスミ作り
最悪の事態なら、今回の未曾有の災害とはさらに桁が違う大災害となり、東京も住める所ではなくなるのですから、状況をウォッチして何がどう変わる訳でも無いことを理解はしていても、ウォッチせざるを得ません。
官邸や東電、保安院の対応のまずさに関わらず、現場では何とかマニュアルに沿った対処が行われたようです。
海水注入にしても、決断遅れの感はあるけれど、行き当たりばったりの苦肉の策ではなく、マニュアルに書かれている対応策でした。
制御棒で既に核分裂が停止されていて、ジルコニウム封入缶、圧力容器、格納容器で3重に保護されている原子炉内の燃料棒より、隔離する容器がなく単にプールに入っているだけの使用済み燃料棒の方が、一歩間違えばはるかに危険なようです。
アメリカの専門家のレポートによれば、最終防衛ラインである格納容器は、分厚い鋼鉄で完全に密閉されていて、完全な炉心溶融を無期限に封じ込める目的だけのために設計、製造されているのだそうで、制御棒が入っていても出ていても、炉心が溶融していてもいなくても、全てを原子炉の中に封じ込めることが出来るということです。
とは言え、既にその頑丈な筈の格納容器の一部が2号機では早くも一部破損している可能性があると報じられていたり、プルトニウムが含まれるMOX燃料の3号機の場合でもこの格納容器が耐えられるかどうかに関しては触れられていない点など、そのまま鵜呑みには出来ない不安要素が多々あるけれど、それを考慮しても、一応格納容器で守られている燃料棒に較べたら、単にプールに入っているだけの使用済み燃料の方は、遥かに危険です。
そして恐ろしいことに、このプールの中には、使用済みではない燃料棒もあるようです。
最悪のシナリオは炉心溶融(メルトダウン)などではなく、もっと恐ろしい再臨界です。
当初マスコミに登場した殆どのお抱え学者は再臨界はありえないとしていましたが、海外からはとうに再臨界の可能性を指摘されていたし、結局随分遅れたものの、東電側も後日、再臨界の可能性があることを認めました。
引っ張り出された先生は、原子力が専門かも知れませんが、原子炉の専門家ではないのですから、質問されても肝心なことは何も判っていないようでした。TVは原子炉設計の専門家を呼ぶべきだったのですね。
使用済みウランは連鎖反応は止まっているのですが、ウランの分裂過程で発生した中間生成物である多くの放射能元素(セシウムやヨウ素同位体など)が残っています。
これら放射性元素がさらにより軽い原子に分裂し、最終的に放射性物質で無くなっていく過程で、熱を発生し続けます。
震災で循環、冷却が出来なくなったプールの水は、この使用済み燃料棒の熱で沸騰し蒸発してなくなります。
冷やせなくなった燃料棒は温度が上昇し、ジルコニウムの融点2200℃を超えたところで、このジルコニウム封入缶が溶けて損傷します。
福島第1原発ではまさにこれが起こりました。
このジルコニウムが溶けて発生する水素で水素爆発が起こり建屋を壊し、このジルコニウムが溶けて中の酸化ウランがむき出しになったからこそ、セシウムやヨウ素同位体が飛び出し、放射能濃度が一気に上昇しました。
もし、さらに温度が上昇して、酸化ウランの融点の約3000℃を超えてくると、ウランは溶融してプール底にたまり始めます。
プールの中のラックで再臨界が起こりえない間隔に保たれてきた燃料棒も、ウランが溶けて集まってしまうと再臨界に入る可能性が出てきます。
外のプールでは制御棒はありませんから、このプールにホウ酸を投入し、核分裂で発生する中性子をこのホウ酸で捕獲させることで、再臨界を防ぐことが出来るのですが、地震や水素爆発で、もしプール内に亀裂が入ってしまっていたらそれも不可能になり、後は再臨界しない確率にかけるしかありません。
再臨界した場合は、燃料棒の多さ、炉の数などから、チェルノブイリを超える被害になってしまいます。
当初、アメリカ側ではこの4号機のプールには亀裂が発生していて、水は完全になくなっていると見ており、一時はかなり最悪な状況だったのです。
幸運にも4号機プールには水が残っていた模様で、少なくともプール底には亀裂が無いことが判ったわけですから、これは本当にラッキーでした。
使用済み燃料の保管方法は色々あるようですが、この原子炉の傍に、プールに入れて保管する方式というのはどうなのでしょうか?
原子炉とプールが近いのは、燃料棒の移し変えに便利であることは判りますが、片方の事故が即もう一方の障害 に繋がりやすく、問題を複雑化、深刻化(まさに今回がそう)する不用意で安易な方法に思えます。
事態の収束のためには、このままプールには海水を入れて冷やし続け、原子炉の方は圧力が高くなれば、ウェットベント、無理なら最悪ドライベントで圧を下げ海水を注入し、その間に電源等を修復して通常のシステムで冷却できるように復旧させれば、やっと一安心で、その方向に少しずつ進んでいます。
1~4号機の(5,6号機はもうOK)内、たった1機でも失敗したらお終いですから、現状はまだまだ予断は許さないけれど、取りあえず一時期のかなり危険な状況からは好転したようです。
夏の深刻な電力不足や日本経済復興のための電力として、原発が絶対必要と言う理屈は判るけれど、ここに至っては、少ない消費電力の中でその規模に経済規模、生活規模を合わせやっていくか又は、何とか良い代替えを開発するかの2通りしかもう選択肢は無いような気がします。
福島第一原発は老朽化していて、元々安全性に対する疑問が出ていた施設です。
今回の事故が何とか事なき得たとして、これを修理してのさらなる継続使用は、日本全国からも世界からも非難されるでしょうから、ありえません。
代替の新しい原発を福島県に作ろうとしても、今回の被害で県民は猛反対ですから無理でしょうし、他の一体どこの県の住民が受け入れるのでしょうか?現実的には難しいでしょうね。
さてこのところ、ずっと震災と原発でバタバタしていて、すっかりブログからは離れていたものだから、下書き記事が溜まっています。
ここからようやくお題です。
毎年色々な魚卵を使って自家製カラスミを製作しています。
2010年度自家製カラスミまとめ
2009年度自家製カラスミまとめ
詳しい作り方や、ブログを始めてからのこれまでの製作経過はカテゴリ[自家製カラスミ]で見ることが出来ます。
カラスミというとボラの卵で作るのだけを本物と思って、他の魚卵で作るカラスミを偽カラスミとかなんちゃってカラスミとか言う人がいますが、これは大きな間違いです。
カラスミは日本古来の食べ物ではなく、地中海沿岸の方で作られていたものが中国経由で伝わったものです。
そちらの本家本元では、昔も現在もボラだけでなく、マグロ、タラ、メルルーサなど、色々な魚の卵で作られていますし、日本でも伝わった当時は鰆の卵で作られていました。
この辺の事に関しては「ボラ以外のカラスミに対する弁護」に記述しました。
さて今年は開始が遅れていたのですが、第1回の自家製カラスミが完成しています。
なかなか良い状態の助宗鱈卵2腹(145g,167g)を580円で購入しました。・・・2/24日
珍しいことにこの2腹、どこも切れておらず、随分上手に取り出されていました(下写真)。
いつものように塩水内で血抜きをした後、キチンペーパーなどで、水気を切り、重量の12%の塩で塩漬け(下写真2枚)。
いつものようにリードペーパータオル(不織布のもの)で包み、その上をキッチンペーパーで包みます。
リードペーパータオルの水分の透過能力は高いけれど、保水量は多くは無いようですから、リードペーパータオルを通って出てきた水分を、外のキッチンペーパーで吸い取ると言う算段です。
鮮度が落ちないうちに急速に脱水させますので、外側のキッチンペーパーだけを、濡れたら頻度良く取り替えます。
内側のリードペーパータオルを包み替えると、塩が取られてしまうので、内側を包み替えないこのやり方は便利です。
塩漬け期間は5日間くらい(水分がもうでなくなる)でいいのだけれど、忙しくて時間が取れず9日間程漬けました。・・・3/5日
塩漬け期間は多少長くても問題はありません。
塩漬けが終了した魚卵は、流水で軽く表面の塩を洗い流し、キッチンペーパー等で表面の水を吸い取った後、重量計測。
生卵145g→塩漬け後102g(70.3%)(下写真)
もう一方は、
生卵167g→塩漬け後131g(78.4%)(下写真)
塩漬け後重量の120%の日本酒に漬けて塩抜き開始です(下写真)。
塩抜きは水で行う方が一般的ですが、私は日本酒で塩抜きをやります。
塩抜き工程では、内部の塩分濃度が下がるにつれ、塩抜きに使用する媒質(水や日本酒)を取り込み、水分活性が又、高くなり再度雑菌に弱い状態となります。
すぐに天日干しできれば何の問題も無いのですが、もし天候に恵まれずこの状態で時間を置くと、腐敗する可能性もあります。
でも取り込む媒質が全て日本酒であれば、風味付けだけでなく、殺菌効果もあり一石二鳥です。
日本酒が勿体無いように思えますが、安価な純米の料理酒も販売されているし、塩抜き後の日本酒は、塩と魚卵の旨みが加算された料理酒として使えますので、無駄にはなりません。
塩抜き期間は1日~2日位で、小型の魚卵なら1日、通常以上のサイズなら2日間が目安です。
必要以上長い期間をかけても、塩が抜ける訳ではなく、単に日本酒を吸い込んで膨潤するだけですから、その後の天日干しが大変になるだけで、塩の抜き加減は日本酒の量でコントロールします(量が多ければより塩が抜ける)。
今回の魚卵サイズなら2日間での塩抜きが妥当だったのですが、間違えて1日しかかけませんでした。
作り慣れるに従って、雑になってくるのが要注意です(笑)
重量変化は、
生卵145g→塩漬け後102g→塩抜き後111g(76.6%)(下写真)・・・3/6日
もう一方は、
生卵167g→塩漬け後131g→塩抜き後143g(85.6%)(下写真)
網に入れて、ベランダで天日干しです。
干し上がりは、飴色具合と固さで判断します。
天日干しが終了したカラスミは、表面をアルコールスプレーで殺菌した後、アルコールが乾いたら、表面に黴防止用にオリーブオイルを塗布し、真空包装して、今期1回目のカラスミの完成です(下写真)。・・・3/14日
重量変化はそれぞれ以下の通りでした。
生卵145g→塩漬け後102g→塩抜き後111g→完成68g(46.9%)
生卵167g→塩漬け後131g→塩抜き後143g→完成88g(52.7%)
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